★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。
児童発達支援と放課後等デイサービスを運営していますが、専門的支援体制加算の加配職員の代わりを探しています。ただ専門的支援体制加算で単位を高くするために必要な実務経験年数の確認が複雑で、よく分かりません。
そこでお尋ねしたいのですが、児発や放デイの児発管になるため、実務経験年数の確認ポイントを教えてもらえますか?
保育士や児童指導員を配置して専門的支援体制加算を算定する場合の実務経験年数は、厚生労働省の告示によって様々なパターンに従い厳密に定められています。
もし仮に自分で実務経験と思っていても、その告示の基準に従わなければ実務経験年数とはなれず、採用費の無駄や加算返却のリスクがあることにご注意ください。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 専門的支援体制加算で加配職員を配置する概要がわかります
- 「経験年数5年以上」の確認方法が順序通りにわかります
- 「経験年数5年以上」を算定する注意点がわかります
目次
【児発放デイ】専門的支援体制加算の実務経験年数とは?確認ポイントを解説
令和6年度の報酬改定により、児童発達支援や放課後等デイサービスの専門的支援体制加算は、理学療法士等を常勤換算で1以上加配した場合に算定できますが、保育士または児童指導員を加配する場合は実務経験年数が「5年以上」求められます。
(加算) | (パターン) | (単位) | ※R6.4.以前 |
専門的支援体制加算 | 定員10名以下 | 123単位 | (187単位) |
※理学療法士等として加配できる職員の職種は複数あります
1:児童指導員(児童指導員として児童福祉事業に5年以上従事した場合のみ)
2:保育士(児童指導員として児童福祉事業に5年以上従事した場合のみ)
3:理学療法士/言語聴覚士/作業療法士/手話通訳士/手話通訳者
4:心理担当職員
5:資格障害者支援担当職員
<児童福祉事業の「経験年数5年以上」の実務経験について>
・児童指導員または保育士配置の「経験年数5年以上」とみなされる実務経験は、「児童福祉事業」(以下の表によります)に従事した実務経験に限定されます。
・ただし資格取得またはその職種として配置された以前の実務経験年数に含みません。
(加算名) | 特別支援学校、学級、通級の経験 | 資格取得または任用以前の経験 | 幼稚園の経験 |
専門的支援体制加算 | 含めない | 含めない | 含める |
児童指導員等加配加算 | 含める | 含める | 含める |
専門的支援体制加算の児童指導員または保育士配置に関する、「5年以上」の実務経験年数の概要についてわかりました。
ただ出来るだけ高い加算単位を取るために「5年以上」の経験年数を証明する書類等を準備したいのですが、どのようなポイントに具体的に気をつければ良いでしょうか
児発や放デイの専門的支援体制加算の「経験年数5年以上」の要件を満たすためには、履歴書だけではなく実務経験証明書等を改めて準備する必要があります。
児童福祉事業には、他の加算や配置要件で実務経験を求められる場合もあり混同しないことが大切です。
以下では児発や放デイの専門的支援体制加算で「5年以上」を証明するための、実務経験年数を確認するポイントをわかりやすく説明いたします。
実務経験年数のパターン別の注意点
令和6年度の報酬改定により児発と放デイの専門的支援体制加算は、保育士や児童指導員を配置した場合に限り経験年数5年以上の職員を配置すれば算定できますが、その経験年数とは「児童福祉事業」(上記に表を記載)に限定されながら、若干の例外もあることに注意が必要になります。
<専門的支援体制加算の実務経験年数の注意点>
・特別支援学校/特別支援学級/通級による指導も、実務経験年数に含みません。
・認可外の保育所や幼稚園等は認められません
・1年あたりの勤務日数は180日以上が必要です(1日の勤務時間は問いません)
児発管の実務経験 | 児童指導員等加配加算 | 専門的支援体制加算 | |
老人福祉施設等 | ◯ | × | × |
小中高 | ◯ | × | × |
幼稚園 | ◯ | ◯ | ◯ |
特別支援学校 特別支援学級、通級 | ◯ | ◯ | × |
資格取得または配置以前の実務経験年数 | 含む | 含む | 含まない |
専門的支援体制加算の保育士や児童指導員配置に関する、「5年以上」の実務経験年数のポイントは、特別支援学校の経験年数も含まない点です。
また資格取得や配置以前の経験年数も「5年以上」にカウント出来ませんので、見逃さないようご注意ください。
面接後の選考の時であれば、求職者に必要な実務経験証明書を集めることができるか確認することは大切です。
まず何をする?!:実務経験を確認する手順について
令和6年度の児発と放デイの専門的支援体制加算の「5年以上」の加配職員として配置できる実務経験年数を確認するために、適切な手順に従って資格や研修、又は実務経験証明書を確認することが大切です。
<手順1:資格や研修修了書の保持者かどうか確認する>
・保育士の場合は国家戦略特区かどうか確認してください
・児童指導員の場合は教員免許か実務経験2〜3年を確認してください
・理学療法士等の場合は資格証、研修修了者なら修了証を確認してください
・心理担当職員の場合は公認心理士かどうかを確認してください
<手順2:実務経験年数を確認>
・認可外の施設での勤務は実務経験年数に含まれません
・資格取得以後や配置以後の実務経験年数のみで「5年以上」あるか確認いたします
<手順3:実務経験証明書の不備を確認>
・幼稚園の実務経験証明書の場合、別途、申立書の作成を行い承認をもらう
・幼稚園の実務経験証明書に、「障害児への支援を含む」という文言があるか確認する
・合計勤務日数を年数で割って1年180人未満の時は各年ごとの勤務日数を出してもらうよう問い合わせる
児発放デイの専門的支援体制加算の実務経験年数で散見するミスは、認可外幼稚園の経験年数を含めてしまうことです。
また心理担当職員としての配置も公認心理士なら確実ですが、その他の民間資格や卒業証書による認定は自治体ごとに異なるので注意が必要です。
施設によっては事前に事業所の方で書き方の見本を記入し、実務経験証明書の作成依頼の際にその見本も同封することをお勧めいたします。
まとめ
専門的支援体制加算で高い単位を取るための「5年以上」の実務経験年数について詳しく分かりました。ありがとうございます。
「5年以上」の実務経験を確認するために必要な手順をしっかり守って、充実したサービス提供体制を整えたいと思います。
専門的支援体制加算の職員は足りず、単なる児発放デイの勤務以外の実務経験を持つ方を幅広く採用する必要があります。
そこで有力なのは幼稚園の経験ですが、経験年数のカウントや実務経験証明書の記載には注意が必要です。 また認可外施設の実務経験を含めてしまい、実地指導の時にトラブルになることも多いので、お気をつけください。
専門的支援体制加算の実務経験のルールにもしっかり対応し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
戸根行政書士事務所からのお知らせ
<スタッフ配置のパターンを解説>
・【基本】これだけは覚えておきたい!児童系の人員配置の基本
・【必見】児童系多機能型の人員配置について
・【確認】児童指導員等加配加算と適正なスタッフの配置について
・【応用】重度心身障害児への支援の人員配置は?
・【基本】医療的ケア児の基本報酬のための人員配置は?
・【応用】重心型が医療的ケア児を支援する報酬とは?
<常勤換算について>
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【基本】常勤換算について徹底解説!計算方法/注意点/よくある質問まで
・【必見】利用者数の計算の仕方のポイント!人員配置の注意点まとめ
<スタッフ配置に関する加算>
・【基本】児童指導員等加配加算とは?取得条件や注意点も解説
・【注意】児童指導員等加配加算と従業員シフト配置の可否について解説
・【確認】特別支援加算とは?条件やおすすめ活用法も解説
・【お勧め】専門的支援加算とは?条件や注意点も解説
<配慮を必要とする児童支援の加算>
・【新設】個別サポート加算とは?条件や注意点を解説
・【基本】「事業所内相談支援加算」とは?取得条件やミス防止もしっかり解説
・【基本】「家庭連携加算」とは?取得条件やミス防止もしっかり解説
・【基本】「関係機関連携加算」とは?取得条件や間違えやすいポイントも解説
・【応用】「強度行動障害児支援加算」とは?取得条件やトラブル事例も解説
<監査指導のトラブルにならないための対策>
・【注意】開所時間減算とは?ポイントや注意点を解説
・【注意】定員超過利用減算とは?条件や気を付ける点を解説
・【基本】延長支援加算について徹底解説!条件や注意点など
・【まとめ】放デイ特有の送迎加算とは?学校送迎の注意点も解説
・【注意】放デイ限定の欠席時対応加算とは?利用時間30分以内でもOK
・【基本】放デイの学校休日等の支援の注意点!トラブル回避のポイント
・【義務化】虐待防止委員会とは?運営規程の書き方から記録書類まで解説
<実地指導のための対策>
・【基本】実地指導、ここがチェックされる!間違えない対策を解説
・【基本】実地指導、ここがチェックされる!②気になる論点の解説
<処遇改善加算を適正に取得する>
・【基本】福祉・介護職員処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
・【基本】福祉・介護職員「特定」処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
・【注意】処遇改善加算・特定処遇改善加算の対象職種とは?注意点も徹底解説
・【注意】処遇改善キャリアパス要件を満たすとは?記述例・失敗例あり
・【基本】賃金改善の方法をわかりやすく解説:トラブル防止の注意点もあり
<事業所管理の健全化に努める>
・【基本】勤務体制一覧表の注意点は?間違えやすいシフト例も解説
・【注意】定員増加の注意点とは?報酬額や人員配置の問題解説
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
<年度ごとの義務化への対応>
・【令和3年度】障害福祉のハラスメント防止の対策とは?運営規程の変更案
・【令和4年度】虐待防止委員会とは?運営規程の書き方から記録書類まで解説
・【令和5年度】身体拘束適正化委員会と「身体拘束廃止未実施減算」とは
・【令和6年度】感染対策委員会とは?運営規定の書き方から記録書類まで
・【令和6年度】業務継続計画(BCP)とは?書き方から研修・訓練実施方法まで
・【令和6年度】児発/放デイ:送迎車両の安全装置の設置義務化等とは?
<年度ごとの義務化への対応>
・【令和3年度】障害福祉のハラスメント防止の対策とは?運営規程の変更案
・【令和4年度】虐待防止委員会とは?運営規程の書き方から記録書類まで解説
・【令和5年度】身体拘束適正化委員会と「身体拘束廃止未実施減算」とは
・【令和6年度】感染対策委員会とは?運営規定の書き方から記録書類まで
・【令和6年義務】業務継続計画(BCP)とは?書き方から研修・訓練実施方法まで
<障害福祉事業は儲かるのか!?様々な統計データを解説>
・【令和5年】障害福祉事業の収支状況は?儲かるのか、どのサービスが好調か解説
<令和6年度の報酬改定による変更>
・【基本】児発放デイの基本報酬の設定方法が変更になった?支援時間の設定のポイント解説
・【基本】新・個別支援計画の作成ポイントを徹底解説
・【新設】家族支援加算とは?取得条件や活用方法を解説
・【新設】子育てサポート加算とは?取得条件や活用方法を解説
・【新設】専門的支援実施加算とは?取得条件や活用方法を解説
・【新設】入浴支援加算とは?取得条件や活用方法を解説
・【新設】集中的支援加算とは?取得条件や活用方法を解説
・【新設】事業所間連携加算とは?取得条件や活用法を解説
・【新設】支援プログラム未公表減算とは?減算条件や回避方法を解説
・【新設】生活介護との多機能型(重心)とは?報酬や要件を解説
・【新設】医ケアと重心の「延長支援加算」とは?要件や注意点を解説
・【新設】医ケアと重心の「送迎加算」とは?要件や注意点を解説
・【新設】児童指導員等加配加算の実務経験年数とは?5年以上の要件と注意点を解説
・【新設】専門的支援体制加算の実務経験年数とは?5年以上の要件と注意点を解説