★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。
児童発達支援と放課後等デイサービスを運営していますが、令和6年度から安全計画の策定も義務化になったと聞きました。ただ安全計画を策定するために、具体的にどのような計画を作っていくのか分かりません。
そこでお尋ねしたいのですが、児発や放デイで義務化になった「安全計画」を作っていくため、サンプルや注意点を教えてもらえますか?
近年、児童支援の現場では児童の安全を確保するための施策が増えてきており、児発や放デイにもその安全策確保の要求は増えています。
もし、これから児発や放デイで安全計画を作っていないと、実地指導(運営指導)でトラブルになるのでお気をつけください。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 令和6年度から義務化の「安全計画策定」の概要がわかります
- 「安全計画策定」のサンプルがわかります
- 「安全計画策定」の注意点がわかります
目次
【令和6義務化】児発・放デイの安全計画の策定とは?サンプルの提供や注意点も解説
令和6年度の報酬改定により、児童発達支援や放課後等デイサービスは事業所ごとに、「安全計画の策定」が義務付けられ、児童の安全確保を計画的に実施することが求められるようになりました。
<安全計画の主な内容について>
1:安全点検について:事業所や設備の安全点検/マニュアルの策定・共有
2:児童・保護者への安全指導等:児童への安全指導/保護者への説明と共有
3:実践的な訓練や研修の実施:実践的な訓練や共有の実施
4:再発防止の徹底:再販防止策の反映
※「安全計画の策定」の注意点
・安全計画を従業者に周知し、定期的に研修や訓練を行います
・通所開始時に保護者に対して、安全計画を説明します
令和6年度に義務化された児発と放デイの安全計画の策定の概要についてわかりました。
ただ安全計画の主な内容を具体的に決めていくにあたって、どのようなポイントに具体的に気をつければ良いでしょうか?
児発と放デイで義務化された安全計画は、研修や訓練を伴うので、年度ごとに実行可能な計画であることが大切です。
また保護者に対しても、開所時や定期的に、安全計画の中身を説明しなければなりません。
以下では、児発や放デイの安全計画の内容の注意点や、他のBCPや避難訓練との連携についてわかりやすく説明いたします。
「安全計画」の主な内容の注意点とは
令和6年度の報酬改定により、児発と放デイに義務化された「安全計画の策定」は、通所する児童の安全性を確保するために、しっかり実効性を持ち、保護者も安心する計画にすることが大切になります。
<安全計画の内容1:安全点検について>
・事業所の備品、おもちゃ、防火設備、散歩コース、公園を定期的(年に3回目安)にリストアップして、点検して改善する
・安全点検マニュアルを作成し、児童の監視や高リスク時(食事、送迎、屋外活動)の、そして緊急時(災害、火事)の従業員の役割分担/保護者や関係機関との連携体制を決める
<安全計画の内容2:児童・保護者への安全指導等>
・児童自身が危機を認識し、災害発生時の約束事や行動を理解するよう支援する
・保護者自身がマナーを遵守し、児童が家庭で安全を学ぶ機会を確保するよう依頼する
・保護者に対して安全計画を説明し、その取り組みを事業所内等に公表しておく
<安全計画の内容3:実践的な訓練や研修の実施>
・救急対応(心肺蘇生法、気道内異物除去)の実技講習を定期的に受けて、事業所内でも訓練する
・不審者の侵入を想定した訓練や119番の通報訓練をする
<安全計画の内容4:再発防止の徹底>
・ヒヤリ・ハットの事例の収集と要員の分析を行う
・事故が発生したら原因を分析し、安全計画の点検箇所やマニュアルに再発防止策を反映させる
令和6年度より義務化された安全計画の策定には、安全点検マニュアルの作成と運用も含まれる点にご注意ください。
特に失念しがちなのは安全計画の保護者への説明であり、保護者から確認印をもらっておく方が安全です。
安全計画における保護者等への安全指導は集団で行なった方が効果もあるので、1年の事業計画に組み込み計画的に実施してください。
まず何をする?!:実務経験を確認する手順について
令和6年度に、児発と放デイに対して義務付けられた安全計画の策定は、BCPの研修や訓練、他には災害時避難訓練等の取り組みと関連付けて整備すると、実効性が高くなるので検討してみてください。
<1:BCPと避難訓練>
・安全計画の設備点検と共に、避難経路となる箇所を使った避難訓練やBCPの訓練を行ってください
・安全計画の見直しとBCPの見直しを同時に行うのも良いです
・安全計画のマニュアルの連絡網と、BCPの連絡網に矛盾がないかチェックしてください
・安全計画のマニュアルの役割分担とBCPの役割分担に齟齬がないか確認することが大切です
<2:入浴時支援加算>
・入浴時の児童の安全確保について、安全計画と共に位置付けてください
・入浴時支援加算を算定するために作成する、入浴の方法/手順/体勢を記した書類と矛盾ないようにしてください
・浴槽の安全器具が壊れたり不調になりやすいので、短い期間での定期的な点検が必要です
・入浴時支援加算の算定に必要な研修を安全計画の中に入れてください
<3:送迎加算>
・送迎時の児童の安全確保について、乗降時の点呼確認シートの活用や安全装置の有無を盛り込んでください
・送迎時のヒヤリハット記録を保護者にも閲覧してもらう
・送迎時の事故から警察や保険会社、そして保護者への連絡手順をしっかり確認しましょう
児発と放デイで義務付けられた、安全計画を策定しようとすると、必然的に既存の研修や計画、マニュアル等との連携を意識する必要が出てきます。
安全計画を独立した空想的なものにせず、日常の様々な場面の注意点と関連付けることで実効性を持つことができるでしょう。
障害児支援施設で特に事故の多い送迎や入浴の場面の安全対策には特に注意を払っていただければと思います。
まとめ
令和6年度から児発放デイに義務化された「安全計画の策定」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
実効性を持って、保護者も安心できる安全計画を作って、充実したサービス提供体制を整えたいと思います。
児童療育の現場でも事故が少なくないので、児発や放デイでも安心感を持てる「安全計画の作成」が必要です。
ただ安全計画を作るだけでなく、実行力を持つよう日頃から点検したり、定期的に保護者に内容を共有したりすることが大切です。 また専門的な加算を算定していれば、加算の根拠書類と関連づけるようにいたしましょう。
安全計画をしっかり策定して、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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