
★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。

児童発達支援と放課後等デイサービスを運営していますが、常勤職員が有給を頻繁に取得して、人員配置が不安です。児童指導員等加配加算や専門的支援体制加算もとっていて、不適切な処理により多額の返金が怖いです。
そこでお尋ねしたいのですが、常勤職員の有給取得の注意点を教えてもらえますか?
職員の有給取得は、魅力のある職場づくりの職場環境の要件にもなっています。
ただ有給取得の対応を間違えると、減算や返金のリスクが出て事業所運営がピンチになります。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 児発放デイの常勤職員の有給取得の基準がわかります
- 児発放デイの常勤職員の有給取得に対する対応方法がケース別でわかります
- 児発放デイの退職前の有給取得の注意点がわかります
目次
放デイの個別サポート加算(I)を取る?受給者証や就学児サポート調査の進め方を解説

児童発達支援と放課後等デイサービスの常勤職員の有給の取り扱いについて、基準職員や加算対象職員ごとに詳細な注意が必要であり、どの種類の職員が有給取得をして、どのような対応を取るのか確認することが大切です。
(職種) | (対応) | (備考) | (根拠) |
常勤の基準職員(保育士又は児童指導員) | 他の職員(パートでも可)を基準職員としてサービス提供時間に配置する。 | ・代わりの職員はパートでも可能です。 ・ただしサービス提供時間は必ず配置です。 | 令和5年3月3日Q&A問1 |
常勤の児発管 | 特になし。 | ・代わりの児発管配置は必要ではないです。 | 令和5年3月3日Q&A問2 |
常勤の加算対象職員 | 1ヶ月以内なら特になし。 | ・代わりの人員配置で時間数を埋める必要はないです。 ・ただし1ヶ月を超えると別の人員配置が必要です。 | 平成19年12月19日Q&A問6 |
常勤の「1以上」の職員(重心型など) | 特になし。 | ・代わりの人員配置は必要ではないです。 ・ただし支援に影響がない場合に限ります。 | 平成19年12月19日Q&A問6 |
<児発と放デイの有給の対応ポイント>
・常勤基準職員の有給休暇の場合のみ、別の職員を当てがって、サービス提供時間に補充する必要があります。
・加配対象職員の有給休暇は「1ヶ月以上かどうか」がポイントです。
・「常勤換算1以上」か「1以上」かの基準を確認しておきましょう。
・有給休暇を常勤職員が取る場合は、必ず支援に支障がないよう注意しましょう。
・児発管の有休休暇の場合は個別支援計画の更新などのタイミングを考慮しましょう。
児発と放デイの常勤職員の有給休暇の扱いについてわかりました。
ただ、会社としては常勤職員が抜けると困る場合があるので、どのような仕組みを作れば、有給取得が発生しても児発放デイで人員配置を安全に確保できますか?
児発放デイの常勤職員の有給休暇は、代わりの配置が必要でないことがあるとは言え、事業の運営に支障をきたすかもしれません。
特に基準職員の有休消化は、事前にしっかりシフト調整をしておかないと、経営側にとっては不安要素です。
以下では、児発放デイの常勤職員の有給取得を、上手く調整する要点について、わかりやすく説明いたします。
常勤の有給取得の調整のポイント

児発放デイで常勤職員が有給休暇を取得する時、事前に調整なく自由に有給期間が決まると、事業所運営やサービス提供に支障が出るので、事前からしっかりスケジュールを立てておくことが大切です。
(調整ポイント) | (必要な対応) | (備考) |
有給日程の変更 | 代替日も提案 | ・代替不能や業務に著しい支障がある場合に限ります。 |
有給日程の指定 | 有給日程の指定 | ・年5日分まで |
計画年休 | 社員全体に有給日程(お盆、年末年始など)を指定 | ・労使協定が必要 ・年5日を超える部分のみ |
<常勤職員の有給休暇を調整するポイント>
・学校休業日や長期休暇の時、常勤職員の有給希望が出れば事前に変更できないか交渉しましょう。
・特に基準職員の場合は他の職員の調整も必要なので、有給申請の期限を事前に設定しておきましょう。
・児発管の有給は更新や面談日程が重ならないように、事前に相談して有給日時を決めておくと安全です。
・お盆や年末年始に有給を消化できるように労使協議しておけば、調整が難しい有給が無くなりやすいです。
児発放デイの運用では、常勤職員に自由に予告なく有給を取らせないことが大切です。
運営の繁忙期に有給を取られると、支援に支障が出る上に、他の職員のやる気も削いでしまうので注意が必要です。
常勤職員とは、有給付与が決まった段階で、事前に有給取得日程を調整しておくことが重要です。
退職時の有休消化の注意点について

児発放デイの常勤職員の有休消化について、しっかりと代わりの職員を用意したり、取得期間を協議したりしておけば大きなリスクはありませんが、退職前に一気に有給休暇を取得して、そのまま退職する場合はルール通りの配置扱いになるか指定権者に確認が必要です。
(職種) | (確認ポイント) |
常勤の基準職員(保育士又は児童指導員) | ・代わりの職員を配置しておけば問題ないです。 ・ただ有休消化が終わり退職したタイミングで別の常勤職員は必要です。 |
常勤の児発管 | ・不在とみなされるリスクがあり、新規受入が難しくなるかもしれません。 ・代わりの児発管が見つかっていない場合は、いつから減算になるか指定権者に確認しましょう。 |
常勤の加算対象職員 | ・不在とみなされるリスクがあり、加算算定が難しいことがあります。 ・代わりの常勤が見つかっていない場合は、加算取り下げの時期を指定権者に確認しましょう。 |
常勤の「1以上」の職員(重心型など) | ・不在とみなされるリスクがあり、新規受入が難しくなるかもしれません。 ・代わりの職員が見つかっていない場合は、いつから減算になるか指定権者に確認しましょう。 |
児発放デイで常勤職員が退職するときに、まとめて有休消化を取ることがよくあります。
常勤職員の有休消化なのでQA通りの解釈に従えば問題ないと考えていると、指定権者の対応によっては大きなリスクになります。
退職前の有休消化については、しっかりと事前に指定権者に説明して確認しておくことが大切です。
まとめ

児発放デイの常勤職員の有給取得について詳しく分かりました。ありがとうございます。
サービス提供の質が低下しないよう、必要な人員配置を整えたいと思います。
児発放デイは常勤職員が多くなる傾向があり、ご家庭を持っている職員もいて、有給取得の設定が働きやすさを決めるポイントになります。
ただ事前相談もなく、自由に常勤職員が有給を取得すると、事業所運営に支障が出てしまうので、前もってしっかり協議して日程を決めておきましょう。 ただし退職前の有給休暇の取得は、指定権者によって確認が必要なので忘れないでください。
常勤職員の有給取得について丁寧な説明を行なって、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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