就労継続支援A型事業所を運営していて、徐々に利用者が集まってきました。 そこで就A利用者を雇用すれば、受給できる助成金があると聞きました。
そこでお尋ねしたいのですが、就労継続支援A型事業所で利用者を雇用した場合、受給できる助成金の要件と注意点を詳しく教えていただけますでしょうか?
就労継続支援A型事業所は利用者を雇用すると、条件を満たせば「特定求職者雇用開発助成金」(=特開金)を受給できます。
ただ不適切な対応で利用者を解雇すると、当人とトラブルになる他、事業所全体で受給している特開金の受給可否にも影響があるので注意が必要です。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 「特定求職者雇用開発助成金」(=特開金)の概要がわかります
- 就労継続支援A型の特開金受給の注意点がわかります
- 就労継続支援A型から多機能型に移行する時の注意点がわかります
目次
【就A】特定求職者雇用開発助成金とは?受給するための注意点を解説
就労継続支援A型の事業会社が受給できる「特定求職者雇用開発助成金」(=特開金)とは、ハローワークや民間の職業紹介事業者を通じて、利用者である障害者を継続して雇用した場合に受け取ることができます。
<就労継続支援A型事業所で受給する特開金について>
就Aの利用者は1週間の労働時間が20時間以上30時間未満の方が多いので、就Aの事業会社は80万円(20万円×4期半年)を受け取ることができます。
※上記時間より著しく労働時間が短くなれば減額の可能性があります
※ハローワーク等の紹介の利用者に関する支給申請(各期半年ごとに支給手続きが必要)
1 会社が労働局またはハローワークに所定の様式で支給申請する(各期末翌日から2ヶ月以内)
2 届出先よりその支給申請の内容の調査と確認
3 届出先より支給もしくは不支給の決定
4 助成金の受給(決定から振込まで一定の期間がかかります)
就労継続支援A型の事業会社が受給できる、「特定求職者雇用開発助成金」(=特開金)の概略についてわかりました。
ただ実際に「特定求職者雇用開発助成金」(=特開金)を受給するために、どのようなポイントに注意すれば良いか教えてもらえるでしょうか?
就労継続支援A型で「特定求職者雇用開発助成金」(=特開金)を受給するためには独自の受給要件があることにご注意ください。
就労継続支援A型の独自の要件を知らず、一般的な要件のみ承知して進めると、助成金が受給できず不利益を被る可能性があります。
以下では就労継続支援A型事業会社が、特開金を受給するための注意点と対策をわかりやすく説明いたします。
就Aだけの独自の受給要件があります!
就労継続支援A型で「特定求職者雇用開発助成金」(=特開金)を受給する場合、他の特開金の受給者の在職率を考慮した、就A事業会社のみに適用される要件があります。
<就A受給要件1:他の利用者で1年雇用された人が75%以上>
前提1:対象労働者の雇用(11/1)前に特開金の受給者(X)がいる場合
前提2:その以前の受給者(X)が雇われてから1年の日(Y)が5/1~4/30にある場合
条件 :Xに当たる方が5人以上いて、Yの日付でXの継続就職者が75%いる
<就A受給要件2:他の利用者で助成終了から1年後も雇用されている人が75%以上>
前提1:対象労働者の雇用(11/1)前に特開金の受給者(X)がいる場合
前提2:その以前の受給者(X)の助成期間終了の翌日から1年の日(Y)が5/1~4/30にある場合
条件 :Xに当たる方が5人以上いて、Yの日付でXの継続就職者が75%いる
就労継続支援A型の事業会社のみに適用される特開金の要件を満たさずに、助成金がもらえなかった事例を散見いたします。
特に他の特開金の助成金受給者の就労時期を考慮するので、いつから助成金を受けていていつ助成期間が終わるか整理しましょう。
就A受給要件は複雑なので事前に労基やハローワークに相談し、時間をかけて慎重に進めることが大切です。
注意点:会社都合の解雇にしない
就労継続支援A型で「特定求職者雇用開発助成金」(=特開金)を受給する場合は、採用前後6ヶ月の間、利用者の同意なしに会社側の判断で解雇しないようにいたしましょう(※勧奨退職も含みます)。
<「特定求職者雇用開発助成金」を受給できなくなる理由>
会社都合の解雇で雇用契約を外す時、提出する「被保険者資格喪失届」に会社都合の退職と記されていると助成金受給資格を事業所として失います(=他の利用者の助成金も受け取ることができない)。
就労継続支援A型利用者で特開金を受給するなら、会社都合の解雇を避けた方が無難です。
助成金の受給要件に気づかず、被保険者資格喪失届を提出すると助成金受給資格を失い、助成金収入が大幅に減ります。
就労継続支援A型の利用は労働契約でもあるので労務的なトラブルのリスクは常に存在するのでご注意ください。
就Aから多機能型に移行する際に気を付ける
就労継続支援A型から「就Bとの多機能型」へ制度設計を変える際に、従来の就A型利用者をB型に移行させることもありますが、その際に会社都合で就A→就Bに移行すると上記のように事業所は「特定求職者雇用開発助成金」(=特開金)を受給できなくなります。
<就Aから多機能型へ移行する際に気をつけること>
・利用者さんの移行は自発的に行ってもらう
・就A終了時点で退職願は出してもらう
・被保険者資格喪失届に退職理由を会社都合と記さない
就労継続支援A型からB型に移行することは、利用者さんにとって手取りの収入が大幅に下がるので不本意でしょう。
その時に利用者さんの同意を取らず会社都合で移籍させると、不当解雇のリスクや助成金の不支給の可能性が出てきます。
就Aと就Bの多機能型に移行する時は前もって時間をとり、しっかりと利用者さんに説明して本人に適切な就労形態を選んでもらいましょう。
まとめ
就労継続支援A型で受給できる「特定求職者雇用開発助成金」(=特開金)について詳しく分かりました。ありがとうございます。
就労継続支援A型の事業会社だけに適用される独自の要件を確認して、助成金が不支給にならないよう注意したいと思います。
就労継続支援事業所の事業会社が受給できる「特定求職者雇用開発助成金」(=特開金)は、1人当たり80万円で20人いれば1,600万円とかなりの額を受け取ることができます。
そのため特開金の助成金を受け取ることは就Aを経営するために必須ですが、独自の要件と解雇制限があるのでご留意ください。 利用者1人でも要件を満たさない場合は他の利用者の助成金受給にも影響が出る恐れがあるので要注意です。
しっかりと就労継続支援A型事業所で受給できる「特定求職者雇用開発助成金」(=特開金)の要件を守ることで、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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