★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。
就労継続支援A型と就労継続支援B型事業所を運営していますが、新しく「就労選択支援」というサービスが始まると聞きました。 大きく制度が変われば、障害福祉事業の経験も少ないのでどのように対応すれば良いか不安です。
そこでお尋ねしたいのですが、新制度の「就労選択支援」について、就労継続支援B型事業所や就労継続支援A型が対応すべき重要変更のことを詳しく教えていただけますでしょうか?
新制度の「就労選択支援」は、障がい者の就労支援へとスムーズにかつ適切に移行するための事業です。
実は「就労選択支援」の事業を知って準備をしておかないと、今後は集客に苦労するかもしれないので要注意です。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 新制度「就労選択支援」の概要がわかります
- 「就労選択支援」を開始するメリットがわかります
- すぐに就Aや就Bが検討すべき準備対策がわかります
目次
「就労選択支援」事業のオススメ活用法!集客難を防ぐ早期対策を解説!
新設される「就労選択支援」という障害福祉サービスは、就労を希望する障がい者の強み/課題/必要な配慮を整理して評価し、適切な就労系サービスに繋げる事業です。
<「就労選択支援」の対象者>
・就労継続支援B型の利用希望者(令和7年10月から利用前は原則)
・就労継続支援A型の利用希望者(令和9年 4月から利用前は原則)
・就労移行支援の利用希望者 (令和9年 4月から利用前は原則)
<「就労選択支援」の実施主体>
・障がい者就労支援に実績がある
・地域の就労支援に関する情報提供ができる
・過去3年間で3人以上の就労実績がある
<「就労選択支援」の人員配置>
・管理者と、15:1の割合で就労選択支援員が必要
・就労選択支援員になるには就労選択支援員養成研修が必要。
・ただし経過措置として基礎的研修や同等の研修で配置が可能。
・就労継続支援事業所と一体的に運営する場合は職員は兼務が可能
・サービス管理責任者は不要
<「就労選択支援」の支給決定期間と報酬体系>
・支給決定期間は基本的には1ヶ月
・サービス提供日に応じた日額報酬(1,210単位≒12,100円/日)
・前6ヶ月の間、同一の事業者に8割以上つなげると減算になる(=「特定事業所集中減算」200単位≒2,000円/日)
新制度の「就労選択支援」の事業の概要についてわかりました。
ただ実際に「就労選択支援」の制度が始まって、就労継続支援B型が適切に対応するために、どのようなポイントに注意し、どのようトラブル対策が有効か教えてもらえるでしょうか?
全ての就労継続支援B型や就労継続支援A型は「就労選択支援」とは無関係でいられず、「就労選択支援」の事前利用が原則になります。
もし自社で「就労選択支援」を開業できない場合、他社の選択支援を利用し、そのまま他社の就労継続支援B型に移行するケースも想定できるでしょう。
以下では新制度「就労選択支援」が開始するにあたって、まず検討すべき就労継続支援A型と就労継続支援B型の対策をわかりやすく説明いたします。
開業は原則:3人の就労実績を作る
新制度「就労選択支援」を自社で就労継続支援A型/B型が開業していないと、他社の就労選択→他社の就A/Bという導線で自社の集客が困難になるので、なんとしても過去3年間で3人の就労実績を作り自社開業が重要になります。
<3人の就労実績を作るポイント>
・平均1年間で1人の就労実績です
・ただ令和4年と令和5年で実績が無しの場合は残り1年強で3人の実績が必要です
・就労実績に関して就労継続期間の規定はありません
※自社へ8割以上の利用者を紹介すると減算になります(=「特定事業所集中減算」)
前6ヶ月に実施した就労選択アセスメントの結果、同一事業者へ利用者の8割超が通所した場合に約2,000円の減算になります。
<「特定事業所集中減算」のポイント>
・就Aや就B事業所単位ではなく同一法人への紹介割合で判断します
・逆に言えば8割までは同一法人への紹介は可能です
・たとえ8割を超えても基本報酬が約12,000円から10,000円になるリスクしかないと考えることもできます
就労実績が多い就労継続支援A型などは有利ですが、これまで就労実績を有しておらず、その体制がない就労継続支援B型事業所などは苦労するでしょう。
なんとか就労実績を作るために、就職活動を専門的に支援する従業員を雇用し、知己のある会社に営業することも大切です。
ただ利用者を就労させると基本報酬単位は稼げないので、6ヶ月の勤続を支援して「就労移行支援体制加算」を忘れずに取得いたしましょう。
就労継続支援B型は特に早急に対策をしましょう
新制度「就労選択支援」は就労系の障害福祉事業に通うために事前利用が義務化されますが、就労継続支援B型は早期の令和7年10月から開始され、今後は競合も多くなるので早期の対策が重要です。
<就労継続支援B型の早期対策のポイント>
・令和7年10月に「就労選択支援」の事前利用が原則となります
・就Bの事業所数は増加していますが利益率は下がっており、収支差率は平均して低いです
・令和6年の報酬改定で就Aから就Bに移行する傾向が加速されると考えられます
就労継続支援B型は「就労選択支援」を早期に導入することが大切なので、就労実績について振り返り整理いたしましょう。
特にこの際に「就労選択支援」に加えて「計画相談事業」も検討し、相談からアセスメント、そして就労継続支援へと繋げる総合支援の実施もご検討ください。
「就労選択支援」や「計画相談」ではサビ管の配置は必要ではないので、必要な研修等を事前い把握してスムーズに従業員に受講させることが大切です。
計画相談支援事業所の併設並びに連携のポイント
新制度「就労選択支援」以降、いかに就労支援事業所に通所する事前段階のサービスを自社開業するかがポイントになるので、「就労選択支援」に加えて「計画相談事業」も同時開業したり、また連携を深めたりすると競合と差をつけることができるでしょう。
<令和6年報酬改定で「計画相談支援事業所」のポイント>
・常勤の社会福祉士や精神保健衛生士は一定の条件のもとで「相談支援員」として配置できます
⇨人員配置が緩くなりました
・通院動向や情報提供だけで加算が取得できます
・居宅訪問がオンラインで実施できるようになりました
<「計画相談支援事業所」との連携のポイント>
・就労選択へは基本的に計画相談がつなげる
・計画相談は就労選択のアセスを勘案するだけで、必ず従う必要はない
・就労選択から一般就労する場合は計画を介さなくて良い
「就労選択支援」を上手に活用するには、もはや計画相談支援事業所から自社展開した方が効率的になります。
ただし計画相談支援員は、プランを書いた方を通所先の兼務職員として支援することはできないのでご注意ください。
就労選択支援の業務は計画相談と日常的に情報共有をし、それだけでも業務負担が増えるので、しっかり効率化を検討いたしましょう。
まとめ
新制度「就労選択支援」の詳細と就労継続支援A型B型の対応策について詳しく分かりました。ありがとうございます。
新制度「就労選択支援」に対応した組織づくりに早く着手したいと思います。
「就労選択支援」は就労系サービスの事前利用が原則となり、どの就労継続支援事業所も関係を避けることはできません。
「就労選択支援」を自社開業することで集客に競合と差をつけることができるので、急いで就労実績を3人分確保いたしましょう。 「就労選択支援」は一体的に開業できてサビ管は不要なので、人員配置は特に事前に気をつけることはありません。
しっかりと新制度「就労選択支援」の開設と就労継続支援A型B型事業所の制度変更に順応して、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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