
★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。

就労継続支援A型B型事業所を運営していますが、就労支援会計の不正を見聞きして、生産活動の売り上げや支出が適正か心配になっています。今後さらに、運営指導時に就労支援事業会計のチェックが厳しくなるとも聞きました。
そこでお尋ねしたいのですが、「就労支援の就労支援会計のスキームをどのように見直せば良いか」、詳しく教えていただけますでしょうか?
就労支援の就労支援会計は原則、障害者の活動による売り上げから、彼らへの賃金・工賃を支払うことがルールです。
しかし、就労支援会計が黒字であれば何でも良いかというと、そうではなく、今後は適正化の有無が厳しく点検されるでしょう。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 就労継続支援A型B型の就労支援会計の見直しポイントがわかります
- 運営指導の時にリスクがある経費や積立金処理のスキーム事例がわかります
- 施設外就労を適正にするために今できる対策がわかります
目次
【最新就AB】就労支援会計の経費と余剰金は?収支バランスの注意点を解説

令和7年11月28日付にて「 指定就労継続支援事業所の新規指定及び運営状況の把握・指導のためのガイドライン」が正式に決定され、利用者の労働等による生産活動売上と彼らへの分配が適切かどうかが明確に問われ、この観点から就労支援会計の整備状況も一層厳しく見られるようになりました。
<就労支援ガイドラインの主なポイント>
・生産活動売り上げの単価が適切かどうか
・生産活動売り上げの内容が適切かどうか
・生産活動売り上げの根拠となる作業等を、利用者が実際に行なっているか
・生産活動売り上げが関連会社等との取引で恣意的に歪められていないか
・生産活動売り上げの対価として、関連会社等に利益還流をしていないか
<就労支援会計の収支のポイント>
・利用者工賃や賃金は、生産活動収入から経費を引いた残りの金額から支出します
・上の金額では足りず給付費で補填すると、就労継続支援A型はスコアの点数が大幅に下がります(=基本報酬単位が低くなります)
・上の金額では足りず給付費で補填すると、就労継続支援B型は平均工賃月額が下がります(=基本報酬単位が低くなります)
・生産活動収入から経費と工賃賃金を差し引いても、余剰金が発生する場合は、積立金をする必要があります
就労継続支援A型B型生産活動会計が、今後厳しく点検されるリスクについてわかりました。
ただ今後、就労支援会計の仕組みづくりや定期的な見直しの際に、どのような点に注意すればよろしいでしょうか?
これから就ABの生産活動会計が厳しくなる影響は収支管理の書類にまで及び、工賃賃金を生産活動売り上げから支出されているかが一層点検されます。
特に経費の算入処理や余剰金の扱いなど間違えると、運営指導でも集中的に指導されるリスクがあります。
以下では就労支援会計の経費処理と余剰金の扱いについてわかりやすく説明いたします。
注意1:生産活動経費を説明可能なように調整する

「指定就労継続支援事業所の新規指定及び運営状況の把握・指導のためのガイドライン 」は生産活動収入の根拠の適切性を求めることから、生産活動経費がどの作業のためにどの項目の何を支出したのか、説明責任が厳密に求められるようになるでしょう。
<注意:生産活動の経費算入のポイント>
・生産活動収入は実現基準、経費は発生基準で経常する
・生産活動売上が5千万円以下だと、販管費と製造原価を分けなくて良い(※ただし棚卸会計はします)
・補助金で得た資産の減価償却は入れない
・利用者の健康診断は福祉会計に入れる
・会社の会計年度と事業年度の2つの期間で収支を考える
・共通経費に関しては按分基準を作る
生産活動の就労支援会計は、運営指導で質問された時に不自然ではない形で説明可能かどうかがポイントになります。
福祉会計か就労支援会計か分けるのは実態がわかっている現場職員になってくるので、日頃から丁寧な領収書等の整理が求められます。
また共通経費も一定程度発生することが見込まれるので、適正な割合で按分基準表を作っておけば安心です。
注意2:余剰金の積立金の適正化

「指定就労継続支援事業所の新規指定及び運営状況の把握・指導のためのガイドライン 」は余剰金処理の適切性を求めることから、2種類の余剰金(工賃変動積立金と設備等整備積立金)の年度の限度や上限額を守りつつ、適正な会計書類を残すことがポイントになってきます。

<注意:積立金処理のポイント>
・積立金は会社の貸借対照表に計上する。
・事業所と積立金の種類ごとに積立金口座を用意して積み立てる。
・設備等整備積立金は、「5年以上は就労支援事業の用に提供することができて、かつ5年以上の積立によらないと取得できない規模の金額」のみ対象になります。
⇨たとえばパソコン等は単体で対象にならず、1組の装置の一部であって装置1組としては対象になる可能性があります(「就労支援事業の会計処理の基準」に関するQ&Aについて、問51)。
就労支援会計で余剰金が発生した場合、原理的には2種類の積立金が使えますが、設備等整備積立金が利用し難い点は要注意です。
事業所でも活用したいパソコン単体だと不可なケースが多いので、この積立金を使う際は説明可能なように相当額の設備の見積書を取得しておきましょう。
令和7年11月に策定された生産活動シートでは余剰金に対する積立金処理が半ば義務的な扱いになっているので、口座準備など早急に行いましょう。
まとめ

就労継続支援A型B型の就労支援会計の適正化対策について詳しく分かりました。ありがとうございます。
経費や積立金処理を適正にするためにスキームを見直し、丁寧に根拠書類を集めていきます。
就労継続支援A型B型の就労支援会計が黒字か否かは、施設外の基本報酬を請求する重要なポイントです。
今後の運営指導の方針としては、経費や積立金処理が適切か否か、厳しくチェックされるでしょう。 事業所が生産活動の収入を、「どこの企業から、どのような契約で得ているか」という点に対して、十分に説明できるように書類等を準備しておきましょう。
生産活動会計を適正に見直し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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