【グループホーム】「地域生活移行個別支援特別加算」とは？取得条件や活用法を解説

2022.12.31
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　障がい者グループホームを運営していますが、利用者さんが増えずに経営に苦しんでいます。そんな時、更生施設などの出所者の方が、障がい者グループホームに行きたいけど受け入れ先がないという話を聞きました。
　そこで出所者の方を受け入れると算定できる「地域生活移行個別支援特別加算」について取得条件から活用方法まで詳しく教えていただけますでしょうか？

　障がい者グループホームの「地域生活移行個別支援特別加算」は、出所者等の潜在的な利用者を支援できる手厚い体制づくりを支援いたします。
　ただ「地域生活移行個別支援特別加算」の取得に必要な体制づくりに細かな規定があり、未実施の要件があって実地指導の時にトラブルになることもあります。
　この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。

「地域生活移行個別支援特別加算」の取得条件がわかります
「地域生活移行個別支援特別加算」の間違えやすいポイントがわかります
「地域生活移行個別支援特別加算」の活用方法がわかります

1 「地域生活移行個別支援特別加算」とは？取得条件や間違えやすいポイントを解説
2 まとめ
- 2.1 戸根行政書士事務所からのお知らせ

「地域生活移行個別支援特別加算」とは？取得条件や間違えやすいポイントを解説

　障害福祉事業の障がい者グループホームでは、通院医療の利用者や刑務所出所者に対して、地域で生活するために必要な相談援助や個別支援を行なった場合に「地域生活移行個別支援特別加算」を取得することができます。
※「精神障害者地域移行特別加算」と併給はできません（平成30年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&A VOL.1問72）

（対象者）	（単位）
医療観察法に基づく通院決定から３年を経過していない者	６７０単位／日
更生保護施設を退所から３年を経過していない者	６７０単位／日

　障がい者グループホームの「地域生活移行個別支援特別加算」について理解いたしました。
　「地域生活移行個別支援特別加算」は加算単位が高くて魅力的ですが、どのようなポイントに注意をすれば加算を難なく取得することができますか？

　障がい者グループホームの「地域生活移行個別支援特別加算」は、加算額が約６７００円と高額になる点が魅力の一つです。
　しかし「地域生活移行個別支援特別加算」は取得条件に細かい条件があり、計画的に準備しないと看過してしまうおそれがあります。
　以下では「地域生活移行個別支援特別加算」の取得時の注意点についてわかりやすく説明いたします。

条件１：世話人／生活支援員の追加配置

　障がい者グループホームで「地域生活移行個別支援特別加算」を取得する際は、グループホームの種別や前年度利用者数に応じた人員配置基準以上に、支援に必要な世話人／生活支援を配置することが可能である必要があります。

＜人員配置の要件を満たすポイント＞
個別のグループホームで必要な人員配置基準の中だけで出所者等を支援するのではなく、それ以上の人員を必要に応じて追加で配置できる余裕が必要になります。

　 「地域生活移行個別支援特別加算」を算定するには、余裕がある人員体制を準備する必要があります。
　パート雇用を活用して人件費削減を目指すグループホーム事業所には少し難しいかもしれません。
　常勤職員が複数配置されていて、月毎や曜日ごとに変動しないシフトが望ましいとされています。

条件２：有資格者による指導体制

　障がい者グループホームで「地域生活移行個別支援特別加算」を算定するには、出所者等に対する支援に役立つ有資格者による指導体制が整えられていることが求められます。

＜有資格者による指導体制についてのポイント＞
・有資格者とは、社会福祉士／精神保健福祉士／公認心理師のいずれかです
・必ずしも有資格者を常勤で配置する必要はありません
・出所者等に対する支援に必要な研修等を年に１回以上行う必要があります
・保護観察所や精神保健福祉センター等の関係機関との協力体制を整える必要があります
・特別な支援に対応した個別支援計画に基づき支援する

※上記「出所者等に対する支援に必要な研修等」とは？
・矯正施設等を対処した障害者支援の経験者による事業所内研修
・出所者支援に実績のある事業所への視察
・出所者支援の関係団体が行う研修の受講

　 「地域生活移行個別支援特別加算」の取得のハードルは、国家資格者を確保できるかです。
　自社の社員に対して資格取得援助をして、有資格者になってもらうことが早道です。
　出所者等に慣れないスタッフもいると想定されるので、研修の開催や頻繁な連絡調整の実施のスケジュールを綿密に立てましょう。

「地域生活移行個別支援特別加算」の活用方法とは

　障がい者グループホームの「地域生活移行個別支援特別加算」は、出所者等に対する支援体制の整備を促すので、その先には、行き場のない潜在的利用者を定期的に引き受けられる強みのあるグループホームになることができます。

＜「地域生活移行個別支援特別加算」の活用例＞
・有資格者をコストをかけず採用することができる
・出所者等への支援に慣れた支援体制を作ることができる
・出所者等を潜在的な利用者とみなして、利用者数を増やす可能性を広げる
・更生施設や病院との連携を通じて地域における信頼を高める

＜「地域生活移行個別支援特別加算」の注意点について＞
・出所者等への支援が難しくスタッフが辞める
・出所者等の存在や行動により他の利用者が退所する
・出所者等がいるせいで地域の住民からクレームが出る

　更生施設からの出所者等が、障がい者グループホームを利用したくても利用可能な受け皿がないことが社会問題になっています。
　利用希望の出所者などが一定数いることから、利用者獲得に悩む事業者にとっては事業拡大と経営安定のチャンスかもしれません
　１日に約６８００円の報酬と加算額も高いのも魅力的で、コストをかけずに支援体制を整えられることも注目しましょう。　

まとめ

　障がい者グループホームに適用される取得条件に細かい条件がありますについて詳しく分かりました。ありがとうございます。
　まずは有資格者を探すことから始めて、地域の更生施設の動向も調査しつつ、「地域生活移行個別支援特別加算」の取得に向けて動きたいと思います。

　 「地域生活移行個別支援特別加算」は、利用者の獲得に悩む事業所の、事業体制の方向転換を促します。
　「地域生活移行個別支援特別加算」を上手く活用すれば、出所者等も受け入れ可能になり、利用者を獲得できる幅が広がって経営が安定する可能性はあります。ただ出所者等を受け入れることは大変でもあり、組織を壊しかねない事態に発展しかねないことにも注意致しましょう。
　でも出所者等の受け入れ先は社会問題にもなっているので、地域社会や関係機関からも信頼されるグループホームの体制を作ってみてはいかがでしょうか。