
障がい福祉のグループホーム等に適用される「重度障害者支援加算」とは何でしょうか?
近年のグループホームの体制整備の課題は、
高齢者や重度の方への支援の強化
にあります。
特に重度の方へのグループホームの支援は、専門技術や人的労力も一層必要になってきます。
そこで事業者支援のために設定されたのが「重度障害者支援加算」です。
ただ令和3年の報酬改定で加算に関する規定が増えて複雑になり、「どうしたら算定できますか?」と言った声をよくお聞きします。
この記事を読めば、どのような条件を満たせば「重度障害者支援加算」が取得できるのかが分かり、その注意点や活用事例も知ることができます
弊所も多くのグループホームの運営支援をしておりますが、この「重度障害者支援加算」の特に「資格要件などが分かりにくい」という意見をもらいます。
これからも障害福祉業界において重度の方への支援のあり方は大きなテーマになりますので、ぜひ「重度障害者支援加算」を取得して手厚い支援体制を築いていただきたいです。
目次
重度障害者支援加算とは?

令和3年の報酬改定を経て「重度障害者支援加算」は、I型(360単位/日)とII型(180単位/日)の2つに分かれています。
そこで、
I型とII型の取得のためには、それぞれどのような要件が必要なのでしょうか
という疑問が浮かんでくると思います。
以下では、I型とII型に分けてしっかり解説していきましょう。
I型(360単位/日)

I型についてまず把握すべきは、「スタッフの資格要件」と「対象者」という2点です。
スタッフ資格要件1
「サービス管理責任者」また「生活支援員」のうち1名以上が、
- 強度行動障害支援者養成研修(実践)
- 行動援護従業者養成研修
- 喀痰吸引等研修(2号)
を修了していること
スタッフ資格要件2
「生活支援員」のうちでその20%以上が、
- 強度行動障害支援者養成研修(基礎)
- 重度訪問介護従業者養成研修
- 行動援護従業者養成研修
- 喀痰吸引等研修(3号)
を修了していること
ポイントはスタッフの資格要件で、特に「サービス管理責任者」と「生活支援員」が持つ資格です。
対象者
- 「障害区分6」
- 意思疎通が著しく困難である
- 重度訪問介護の対象
- 四肢すべてに麻痺等があり、寝たきり状態にある障害者(最重度知的障がい者or人工呼吸器着用者)
II型(180単位/日)

スタッフ資格要件1
「サービス管理責任者」また「生活支援員」のうち1名以上が、
- 強度行動障害支援者養成研修
- 行動援護従業者養成研修
を修了していること
スタッフ資格要件2
「生活支援員」のうちでその20%以上が、
- 強度行動障害支援者養成研修(基礎)
- 重度訪問介護従業者養成研修
- 行動援護従業者養成研修
を修了していること
対象者
・「障害区分4」かつ「強度行動障害を有する者」
・以下の認定調査項目で行動障害関連項目の合計が10点以上の者

重度障害者支援加算の注意点とは

「重度障害者支援加算」を取得して運営する際に、特に注意すべきは、
資格要件を満たすスタッフの配置
です。
グループホームでのスタッフの配置の人数や資格要件が細かく定められており、実地指導の時にもその点を厳しくチェックされます。
そこでこれまで弊所にいただいた質問を踏まえて注意点を列挙したいと思います。
・サービス管理責任者と生活支援員を兼務していても別々にカウントする
・生活支援員が1名でもその者が研修を満たせば算定可能
・研修修了者の人が偶然不在の日でも算定できる
重度障害者支援加算の活用事例

令和3年度の報酬改定により
「重度障害者支援加算」の対象者が、区分6以外にも開かれる
ことになり、要件が緩和されました。
その結果、障害区分4以上であれば対象者になりましたが、「強度行動障がい者」限定という条件付きです。
つまりただ緩和されただけではなく、グループホームに対する期待の声を考慮した体制づくりが進められているのです。
そこでこのような動向を踏まえてオススメ活用事例をお伝えしましょう。
「強度行動障害者体験利用加算」との組み合わせ

令和3年の報酬改定により新しく設定された加算で、「強度行動障害者体験利用加算」があります。
「強度行動障害者体験利用加算」とは、
強度行動障害者が病院等から地域移行する時、グループホームで体験利用を行えば算定される加算
です。
その加算の取得条件としては、
- 「強度行動障害支援者養成研修」や「行動援護従業者養成研修」の 修了者を配置する
必要があります。
こうした研修条件を見て分かるのが、「重度障害者支援加算」の研修の一部と重なっている点ですね。
つまり「強度行動障害者」を受け入れる体制づくりを行えば、「重度障害者支援加算」を含めた複数の加算を取得でき、手厚い給付を受け入れられるのです。
重度訪問介護事業との組み合わせ

「重度障害者支援加算」の対象者となる方は、日常生活で基本的には重度訪問介護を受ける方になるでしょう。
加算要件の中で必要なスタッフの資格に、「重度訪問介護従業者養成研修」の修了が含まれていることからも、両者は密接な関係にあります。
そこで「重度障害者支援加算」を算定できる人員と経験があるなら、それを活かして
重度訪問介護事業を始めること
も検討してみましょう。
特に日中サービス支援型のグループホームでは、特例を用いて自社の介護サービスを共同住宅にて行うことができます。
そうすると両事業の連携もより密接になり、地域に密着した包括的な重度の方への支援を提供することができるでしょう。
まとめ
令和3年の報酬改定により「重度障害者支援加算」の要件が緩和されました。
これからは、
重度の方や高齢者へ手厚い支援をするグループホームが評価される傾向
になってきます。
こうした動向の中で給付増加とリスクを計算し、他の加算や他の介護事業と組み合わせて経営を安定させていきましょう。
