★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
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就労継続支援A型事業所を運営していますが、令和6年に「就労移行支援体制加算」のルールが変わったと聞きました。「就労移行支援体制加算」が売り上げを支えているので心配です。
そこでお尋ねしたいのですが、令和6年から「就労移行支援体制加算」のルールがどのように変わったか詳しく教えていただけますでしょうか?
最近、就労継続支援A型の「就労移行支援体制加算」を事業所都合で複数回取得する事例が散見されます(=もちろんダメなことです)。
そこで令和6年度より、利用者を会社都合で無理やり就労させることに対して期限を定める禁止規制が入りました。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 令和6年度からの「就労移行支援体制加算」の新ルールがわかります
- 「就労移行支援体制加算」を複数回適用する3年規制がわかります
- 複数回算定を達成するために別法人を活用するデメリットがわかります
目次
【R6重要】就労移行支援体制加算のルールが変わりました!3年規制のポイント解説
令和6年度より、就労継続支援A型等の収益を支える「就労移行支援体制加算」のルールが変わり、同一人物で複数回その加算を算定する場合は3年間の期間をあけないといけなくなりました。
(加算名) | (単位) | (条件) |
就労移行支援体制加算 | 人員配置、定員、スコアによる ☟以下の表を参考に | ・就Aを経て企業等に就職 ・6ヶ月間の勤続結果 |
<令和6年度新ルール:3年間の制限について>
・一度、就Aを経て加算算定対象者になれば、同じ就A事業所から再度3年間は加算算定の就労定着者にならない
・規制対象の3年間とは、6ヶ月勤続を達成した翌年度、つまり加算算定開始の4/1から3年間です
・例外的に、都道府県知事や市区町村が承認すれば3年以内であっても加算算定が可能になる
令和6年度の「就労移行支援体制加算」の新ルールの概要についてわかりました。
令和6年度から「就労移行支援体制加算」を積極的に活用していくには、どのような点に注意して活用すればよろしいでしょうか?
同一の利用者に対して、就労継続支援A型にて複数回も「就労移行支援体制加算」を算定することが規制されました。
実務的に大切なポイントは、規制年数と加算規制の仕組みを深く理解することです。
以下では令和6年度以降の「就労移行支援体制加算」の新ルールの注意点と戦略をわかりやすく説明いたします。
注意:複数回適用が認められないケースについて
就労継続支援A型で「就労移行支援体制加算」を複数回適用することで収益を拡大した戦略がありましたが、これからは原則その複数回適用の戦略が難しくなったとご理解ください。
<「就労移行支援体制加算」の複数回適用が認められない事例>
・就Aを経て就労し6ヶ月経ってから、同じ就Aに戻して、再度6ヶ月就職させて加算を算定する
・就Aを経て就労し6ヶ月経ってから、同法人別事業所の就Aに戻して、再度6ヶ月就職させて加算を算定する
(年月日) | (状況) |
2024年10月1日 | 就労開始 |
2025年3月31日 | ★勤続6ヶ月達成 |
2025年4月1日 | ●「就労移行支援体制加算」の算定開始 |
2026年3月31日 | 「就労移行支援体制加算」の算定終了 |
2026年4月1日 | 同法人の就労継続支援A型に出戻り |
2026年10月1日 | 再度就労開始(2025/4/1より3年未経過=就労定着者と見做されません) |
2027年3月31日 | ★勤続6ヶ月達成 |
2028年4月1日 | ✖️「就労移行支援体制加算」の算定はできません |
(年月日) | (状況) |
2024年10月1日 | 就労開始 |
2025年3月31日 | ★勤続6ヶ月達成 |
2025年4月1日 | ●「就労移行支援体制加算」の算定開始 |
2026年3月31日 | 「就労移行支援体制加算」の算定終了 |
2027年4月1日 | 同法人の就労継続支援A型に出戻り |
2028年5月1日 | 再度就労開始(2025/4/1より3年経過就労定着者と見做されます) |
2028年10月31日 | ★勤続6ヶ月達成 |
2029年4月1日 | ●「就労移行支援体制加算」の算定は可能です |
「就労移行支援体制加算」の複数回適用の注意点は、同法人の別事業所に出戻りして再度就労した場合も規制の対象になるということです。
ただ、加算適用から3年間なので、適用期間や出戻り後の訓練期間も入れると、上記の表のように1年間適用開始が遅くなるだけに過ぎないとも言えます。
「就労移行支援体制加算」を複数回適用する場合は、3年という期限のコントロールをしっかり行うことが大切です。
今後は複数回適用はデメリットが大きい?!
令和6年度から就労継続支援A型の「就労移行支援体制加算」の複数回適用は規制されましたので、もし規制を避けようとすれば別法人の活用しかありませんが、倫理面と同時に、経営面として収益を上げることが難しいので中々オススメはできません。
<別法人を使って複数回適用することのデメリット>
・スコアの労働時間のコントロールが難しくなる可能性があります
・生産活動を黒字にし続ける計画が難しくなる可能性があります
・法人ごとに基本報酬(つまりスコア)が異なれば収益最大化が難しくなります
・そもそも複数の法人を維持するコストが大きいです
就労継続支援A型の基本報酬はスコアにより、事業所ごとの実績で判断されるので、別事業所から加算取得を狙っても、その事業所の単位等に加算額は左右されてしまいます。
特に就労継続支援A型は基本報酬をスコアで算定するまで、最低2年度が必要なので、それも収支計画を狂わせる要素になるでしょう。
別法人を使って「就労移行支援体制加算」を複数回算定することはリスクが大きいです。
まとめ
令和6年度の「就労移行支援体制加算」の新ルールについて詳しく分かりました。ありがとうございます。
3年間の複数回算定の禁止をしっかりと理解して、加算算定と事業拡大の戦略を再検討いたします。
就労継続支援A型の「就労移行支援体制加算」は、その複数回利用が3年間規制されることになりました。
同事業所はさりながら、同法人の別事業所でも複数回算定には規制がかかるのでご注意ください。 また別法人を活用した戦略も、倫理面だけでなく経営面でもリスクがあることをご承知おきください。
そもそも「就労移行支援体制加算」は事業所都合で算定するものではないという基本に立ち返り、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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