グループホームにおいて個人単位で居宅介護を利用する時の要件や注意点とは何でしょうか?
共同生活援助(グループホーム)の利用者へ、介護サービスを提供する場合は、
・生活支援員による介護
・外部の居宅介護事業所への委託による介護
のいずれかの形態になっています。
そして原則として、
- この2種類以外による介護等を受けさせてはならないと
されています。
しかし個人単位でその例外が認められる措置があるのです。
この記事を読めば、グループホームにおける個人単位の居宅介護の利用の要件や注意点、それに活用事例がわかります
これまで多くのグループホーム事業所のサポートをしてきた中で、「利用者に対して共同住宅内で重度の介護サービスを行いたい」と言った相談を度々受けました。
こうした相談は実現可能ですが、あくまで特例措置の範囲内ですので注意が必要です。
そこで本日はグループホームにおける個人単位の居宅介護の利用について解説していきます。
目次
グループホームでの個人単位の居宅介護の利用の要件とは?
まず気になるのが、
どのような要件を満たせば、グループホームでの個人単位の居宅介護の利用をすることができるのか?
ということではないでしょうか。
令和3年度の報酬改定でも引き続きこのような経過措置を続けることが決まったので本日はその要件についてお伝えいたします。
対象者
グループホームでの個人単位の居宅介護の利用の対象者は次の2パターンに分かれています。
対象者パターン1
- 障害支援区分4以上
かつ - 重度訪問介護/同行援護/行動援護の対象者
対象者パターン2
- 障害支援区分4以上
かつ - 次の A 及び B の要件をいずれも満たす者
B :グループホームでの居宅介護の利用について市町村が必要を認めていること
つまり基本的には障害支援区分の4以上が必要で、ある程度特別な支援を必要とするほどの重度の方ということがわかります。
利用可能サービス
利用可能サービスについても対象者のパターンごとに定められており、
対象者パターン1: 居宅介護または重度訪問介護
対象者パターン2: 居宅介護(※身体介護にかかわるものに限る)
とされています。
注意点としては障害支援区分の4以上の方でも、身体介護に関わる支援を受けないとこの特例は認められないという点です。
報酬
基本的には、普通のグループホーム事業と同じように、障害支援区分や世話人の配置に応じて決まります。
介護サービス包括型
(世話人配置) | 介護サービス包括型 |
4人に1人 | 区分6 444 区分5 398 区分4 364 |
5人に1人 | 区分6 393 区分5 346 区分4 314 |
6人に1人 | 区分6 359 区分5 313 区分4 281 |
日中サービス支援型
(世話人配置) | 共同生活住居で過ごす | 共同生活住居で過ごさない |
3人に1人 | 区分6 698 区分5 651 区分4 617 | 区分6 605 区分5 558 区分4 525 |
4人に1人 | 区分6 612 区分5 566 区分4 533 | 区分6 520 区分5 474 区分4 440 |
5人に1人 | 区分6 561 区分5 515 区分4 482 | 区分6 469 区分5 422 区分4 389 |
グループホームでの個人単位の居宅介護の利用の注意点とは?
これまでの説明で、グループホームでの個人単位の居宅介護の利用の要件がわかったと思います。
しかしこのような利用はあくまで特例の経過措置なので、運用には十分な注意が必要です。
そこで気になるのは、
グループホームで個人単位の居宅介護の利用をする時、どのような点に注意すればいいの?
ではないでしょうか。
そこでループホームでの個人単位の居宅介護の利用の注意点についてお伝えいたします。
グループホームの人員配置基準
これまで弊所もグループホームでの個人単位の居宅介護の利用について、多くの相談を受けてきましたが、その中で感じる注意点は、
個人単位で居宅介護を利用する時でも、グループホームに必要なスタッフを配置しているか
という点です。
制度的にはこのような特例措置の間のグループホームでの人員配置基準は、
個人単位での居宅介護等を利用する者の生活支援員の配置基準については、当該利用者数を2分の1として算定
とされています。
ポイントは生活支援員の配置について、その数の計算を通常の2分の1で行う点です。
通常のグループホームにおける生活支援員の配置基準は次のように計算いたします。
そこで特例の基準である「当該利用者数を2分の1として算定」とはどのように考えるのでしょうか?
事例:区分3/2人、区分4/2人、区分5/1人
この事例において、個人単位で居宅介護を利用する方を、
- 区分4の2人と区分5の1人
として考えます。
その場合、
2÷9+1(※2人の2分の1)÷6+0.5(※1人の2分の1)÷4=0.4
となります。
つまり常勤換算にして0.4以上だけ配置していればいいというわけです。
普通の場合では、
2÷9+2÷6+1÷4=0.7
になるので、経過措置の特例を利用する場合は通常より少ない配置でいいというわけです。
しかし「当該利用者数を2分の1として算定」した上での人員配置基準は守ようにしてください。
グループホームでの個人単位の居宅介護の利用の活用事例とは?
グループホームでの個人単位の居宅介護の利用に関する要件や注意点については説明してきました。
加えてそこで気になるのは、
この特別経過措置の活用事例はどのようなものがあるのか?
ではないでしょうか。
例外的な措置とはいえ、認められている期間にこの制度を有効活用して事業基盤を固めることができるならチャンスです。
他の加算との組み合わせ
ポイントは、
グループホームでの個人単位の居宅介護の利用とは主に重度の方が対象である
という点です。
そこでお勧めの活用事例として、
グループホームで利用できる「重度の方向け」の他の加算と組み合わせる
ことが挙げられます。
グループホームで利用できる重度の方向けの加算とは、
・重度障害者支援加算・・・・・・重度の方を支援する専門的な体制がある場合に加算
・強度行動障害者体験利用加算・・重度の方を受け入れる専門的な体制がある場合に加算
があります。
これらの加算が想定する対象者は、ほとんどこの特別な経過措置の利用者と重なるでしょう。
従って支援するスタッフ側に、重度の方支援を行う専門的な体制を築くことができれば、
他の加算も取得することができて支援に手厚い事業携帯を整えること
ができます。
重度訪問介護事業も併せて行う
グループホームでの個人単位の居宅介護の利用で、重度訪問介護などのサービスを受けることができます
この制度を別の見方からすれば、
グループホーム運営法人で重度訪問介護も行う
という選択肢を取ることができます。
つまりグループホーム内で行う介護支援も、同じ法人が管轄する事業でカバーすることができることになります。
そうすると、
・サービスの最適化
・連絡調整作業の円滑化
・監視監督の適正化
という点でも、グループホーム支援と介護事業の連携がスムーズになるのでお勧めしたい活用方法です。
まとめ
近年行政に評価されるグループホームの特徴は、重度の障害の方や高齢者を受け入れ適切な支援ができることです。
そのためにはグループホーム事業において、「個人単位で居宅介護を利用する特例」を活用することは大切です。
ただあくまで特例措置なので適切に運営できているか気をつけていないとトラブルになる可能性があるので注意してください。
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