障がい者グループホームの利用者さんが入院されることが時々あってスタッフを増やそうと考えています。
利用者さんが入院した時に取得できる加算があると聞いたのですが、教えてもらえるでしょうか?
入院された利用者さんに支援を行うと取得できる「入院時支援特別加算」があります。。
ただ最近、ルールを守っていなかったり記録を取っていなかったりとトラブルがよくあります。
入院中の利用者さんに対する支援について、この記事では以下のような内容がわかります。
- 「入院時支援特別加算」の取得基準がわかります
- 「入院時支援特別加算」を取得する時の注意点がわかります
- 「入院時支援特別加算」の疑問や不安が解消される
入院時支援特別加算の「基準」とは?
障がい者グループホームで利用者さまが入院した時は「入院時支援特別加算」を活用することができます。
※事前に自治体に加算の届出を出す必要はありません。
<入院時支援特別加算とは?>
病院又は診療所を訪問し、入院期間中の衣類等の準備や利用者の相談支援など、日常生活上の支援を行うとともに、退院後の円滑な生活移行が可能になるよう、病院又は連絡調整を行うと算定
<入院時支援特別加算の単位>
入院期間が3日以上7日未満: 561単位/回
入院期間が7日以上 :1,122単位/回
障がい者グループホームの利用者さんで病院から出て来られた方は治療もありたまに入院されることがあります。
「入院時支援特別加算」を取得するためには、どのように利用者さんに対して支援すればいいですか?
ポイントは支援内容だけでなく、一定の基準の日数以上を入院されているかどうか土日でもグループホームの支援体制は継続する必要があるかです。
それに他の加算と同じように支援記録や個別支援計画との整合性は欠かせません。
特に日数に関しては複雑なので具体的な例をお示しして説明いたします。
対象者:3日以上入院する利用者
障害者グループホームで算定できる「入院時支援特別加算」の対象者は3日連続して入院するグループホーム利用者様であって、1日や2日間だけ入院すると対象になりません。
(入院期間) | 1日 | 2日 | 3日 | 4日 | 5日 | 6日 | 7日 |
(入院時支援特別加算) | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
<例1>
5月1日に入院、4日に退院:算定できない
5月1日に入院、5日に退院:算定できる(3日のみ)
<例2>
5月1日に入院、4日に退院 + 5月11日に入院、13日に退院
:算定できる(2日、3日そして12日の3日間)
「入院時支援特別加算」は3日目から算定できることにご注意ください。
特に2ヶ月間に渡る場合は「3日目」の数え方にお気をつけください。
実務:生活支援と連絡調整
障害者グループホームで活用できる「入院時支援特別加算」を算定するには、入院中の利用者さんに対してサービスの提供を行う必要があります。
<サービス1:生活支援>
・利用者さんに話を聞き相談にのる
・利用者さんの衣服を持って行く/受け取って洗濯する
・入院/退院時の手続きを支援する
<サービス2:連絡調整>
・病院や診療所と入院中の体調の経過について連絡を受け把握する
・退院した後の薬管理等のサポートについて連絡を受け把握する
・入院や他院の経過を家族に報告する
「入院時支援特別加算」は届出は要りませんが何もしなくても取得できる加算ではありません。
連絡調整と生活支援が加算の算定条件になるので、その業務をこなすスタッフの確保のご準備ください。
個別支援計画における位置づけ
障害者グループホームで使える「入院時支援特別加算」を算定するには、特定の利用者に対して入院した場合、グループホームのスタッフが支援する必要があると事前から計画を立てておくことが望ましいです。
<個別支援計画における書き方>
・単身である
・家族が遠隔地に住んでいる
・家族と疎遠
・家族が不正行為をするおそれがある
監査指導の時にしばしチェックされるのが、入院時の支援と個別支援計画との関係です。。
個別支援計画を作成するときのアセスメントでしっかり体調のこと、治療のことが把握されていることが理想とされます。
直接支援のスタッフだけでなくサビ管と連携を取って入院時の支援を行いましょう。
入院時支援特別加算の「注意点」とは?
障がい者グループホームの「入院時支援特別加算」についてその概略をご理解いただけたかと思います。しかし「入院時支援特別加算」は届出が不要なので「本当に正しく運用できているか」不安がつきません。
「入院時支援特別加算」を算定していても、監査指導の時に問題がないように注意点が知りたいです。
加算を取得するために気をつければいいポイントなど教えてもらえますか?
「入院時支援特別加算」を適正に運営するためには算定期間と基本報酬との関係をよく理解しておくことが大事です。
また入院時支援の際に必要となる記録の取り方も不適切な事例が確認されることもあるので、具体的な例をお示ししてご説明いたします。
基本報酬との関係:入退院日は?
障害者グループホームで算定できる「入院時支援特別加算」は、グループホームの基本報酬単位が算定できない状況で算定することができます。つまり重複はできません。
(入院期間) | 1日 | 2日 | 3日 | 4日 | 5日 |
(適用) | 基本 | 加算 | 基本 | ||
(単位) | 331 | 561 | 331 | ||
備考 | 入院 | 退院 |
つまり入院日/退院日は入院時支援特別加算を算定することができません。
その代わりグループホーム内支援で算定する基本報酬を適用することが可能になります。
上記の例で言うと報酬が発生しないのは2日目と3日目だけです。
月に1度だけ:月を超えると?
障害者グループホームで算定できる「入院時支援特別加算」とは、月に1度だけ算定することができる限定的なものになります。
※入院期間中、毎日算定できるのではありません。
<間違えやすい例:4月25日から5月3日>
4月分(27、28、29、30日のどれか)は算定できますが、5月になると5月分は算定することができません。
(日程) | 5/1 | 5/2 | 5/3 |
(適用) | - | - | 基本報酬 |
(備考) | 入院1日目 | 入院2日目 | 退院日 |
つまり4月の入院日から翌月の入院日を合算して、入院時支援特別加算の基準を考えることはできないのです。
入院期間が7日以上になれば単位も上がりますが、その期間は1月の範囲内で計算ください。
入院時の記録の整備
障害者グループホームで使える「入院時支援特別加算」を算定するための生活支援や連絡調整は、書面で詳細に記録に残すことが大事です。
<入院時の支援の記録の記載例>
・いつ、どこで
・どのような相談を受けたか
・入院時の病状の経過はどのようであると報告を受けたか
・退院してから必要な支援の内容についてどのように報告を受けたか
・入院することにより誰にどのような連絡を取って欲しいか
・入院することにより各種支払いはどのように対応するのか
入院時の支援において特に金銭管理にはご注意ください。
同意なく、入院費用や各種支払い、家賃等を正当な立場で無く代わりに払った場合、後でトラブルになるケースがあります。
そのような時は成年後見制度を利用することをご検討ください。
よくある質問
入院時の連絡調整や生活支援は誰が行いますか?
答:グループホームに配置されているスタッフが行います。常勤換算の範囲内でも大丈夫です。ただ雇用契約などの関係にご注意ください。
「入院時支援特別加算」を算定するために届出は必要ですか?
答:届出は要りません。その代わり請求記録にしっかりと入院日等を記載し、支援記録を整備してください。
加算算定に必要な生活支援や連絡調整は入退院日に行ってもいいですか?
答:問題ありません。
「入院時支援特別加算」は「長期入院時特別加算」と併用できますか?
答:両加算を併用できません。
「入院時支援特別加算」は体験利用の利用者に適用できますか?
答:体験利用には適用できません。
入院時でも家賃等を請求することはできますか?
答:基本的には可能です。万全を期するなら入居時の契約書に入院時の支払いについてご記入ください。
入院した利用者もグループホームの人員配置基準に換算いたしますか?
答:換算します。
まとめ
障がい者グループホームの入院時の支援とその「入院時支援特別加算」について説明していただきありがとうございました。
算定の日数の数え方や記録の取り方など、間違えやすいポイントを含め参考になりました。
繰り返しになりますが、「入院時支援特別加算」を算定する日数や基本報酬との関係にはご注意ください。
加算取得において請求で不適切な処理があると給付金の一部を返還しないといけません。
届出不要で気軽に取得できる加算ですが、適正な運営にご注意いただければ幸いです。
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