障がい者の就労継続支援事業所を運営していますが、サービス管理責任者が突然辞めて「みなし配置」で事業運営しています。そんな時にこのサビ管の「みなし配置」の期間が1年から2年に延びると聞きました。
そこで障害福祉事業のサービス管理責任者の不在時における「みなし配置」の期間延長を詳しく教えていただけますでしょうか?
これまで障がい者福祉事業のサービス管理責任者が突然辞任した場合は、1年間の期間限定でサビ管以外の職員をサビ管として「みなし配置」することができました。
しかし令和5年の制度改定により、サービス管理責任者の不在時の「みなし配置」の期間が、条件を満たせば1年間から2年間から延長されました。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- サビ管不在の「みなし配置」の期間が2年間に延長されるポイントがわかります
- サビ管不在の「みなし配置」の経営上のポイントがわかります
- サビ管の制度改訂による事業経営の注意点がわかります
★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
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目次
【令和5年】令和5年サービス管理責任者の不在の制度変更とは?2年間の猶予あり!
障害福祉事業で配置が必要なサービス管理責任者が「やむを得ない事由」で不在になった場合、これまで1年間の間を実務経験者を「みなし配置」出来ましたが、これから説明をする条件を満たせば最長で2年間の「みなし配置」が可能にあり猶予期間が延長されました。
※サビ管欠如減算はみなし期間最後の月の翌々月から開始します(例:5月末までなら7月から減算)
<サービス管理責任者の不在の「やむを得ない事由」のまとめ>
1 実務経験年数がいる:保有資格や担当業務により変動します。一般的には3年から8年です。(→令和5年の制度改定で欠如時点で基礎研修の受講が必要です)
2 1年間に限定(→令和5年の制度改定で最長で2年間に延長されます)
<そもそも「やむを得ない事由」とは>
・ サービス管理責任者等が退職/病休など「事業者の責に帰さない事由」により欠如する
・ 当該事業所にサービス管理責任者等を直ちに配置することが困難
・30日前申告で就業規則に則った退職は認められません
・募集をしたが該当者が決まらなかったことは認められないことがあります
・介護のための退職は認められないことが多いです
障がい者事業のサービス管理責任者の不在時の「みなし配置」や制度変更の概略について理解いたしました。
そこで詳細にサービス管理責任者の不在時のみなし措置の延長の条件や、その制度改正による事業経営の変化のポイントなど教えていただけるでしょうか?
令和5年のサービス管理責任者の制度変更によって障害福祉事業の経営のルールは大きく変わります。
ただ制度変更の主眼である「みなし配置」の期間延長は細かい条件が付されているのでご注意ください。
以下ではサビ管の制度改正の条件と事業所経営のポイントについてわかりやすく説明いたします。
サビ管不在の猶予期間が「1年」から「2年」になる条件
障害福祉事業でサービス管理責任者が「やむをない事由」で欠如した場合、実務経験がある職員を代わりに1年間配置でき、その期間は減算になりませんでしたが、令和5年から制度が変わり、以下の条件を満たせば「2年間」までその「みなし配置」が延長されます。
<サビ管不在の猶予が「2年間」に延長される担当者の条件>
1:必要な実務経験を満たしていること(3~8年etc)
2:やむをえない事由で欠如した
3:基礎研修(と初任者研修の講義部分)をサビ管の欠如した時点で既に修了している
4:サビ管の欠如以前からサビ管以外の職務で雇用されている
<解説:「1:サビ管配置に必要な実務経験」とは>
サビ管基礎研修を受講するには、必ずしも「サビ管配置に必要な実務経験」を満たしている必要はなく、その2年前から受講可能です。例えば、ヘルパー2級保持者なら5年の実務経験が必要ですが、その2年前の3年目から基礎研修を受講できます。
ただし延長期間2年の特例では基礎研修時に、上記の例で言うと5年の実務経験が必要ということです。
※「みなし配置」の期間中に基礎研修修了者となった場合
「みなし配置」の期間中に基礎研修を修了しても、「みなし配置」の期間は2年間ではなく1年間です。
<解説:「2:やむをえない事由」の例とは>
サビ管が欠如した理由が、事業所に責任がなく予見できない「やむをえない事由」でなくてはいけません。例えば、体調不良等による突然の辞職や死去などです。逆に言えば、事業所側に原因があり前もって予定されていた理由では、「みなし配置」はできません。
<解説:「3:基礎研修をサビ管の欠如した時点で既に修了している」とは>
基礎研修を修了した時にもらえる修了証の日付が、欠如した日付(退職日や死去日)より先になっている必要があります。
令和5年度のサビ管の制度改定は画期的であり、実務経験があり基礎研修さえ修了している職員がいれば2年間は「みなし配置」が可能になります。
つまり2年間も猶予があれば、早急に外部から新しいサビ管を雇用する必要はなくなります。
ただしその2年間の間に、「みなし配置」の職員は実践研修を受ける必要がありますのでご注意ください。
サビ管制度改定による事業所経営のポイント1:サビ管減算のリスク低下
障がい福祉サービスの令和5年のサービス管理責任者の制度改定によって、「みなし配置」の期間が1年から2年に延長されることで、その結果、サービス管理責任者欠如減算が適用される可能性が大幅に下がりました。
<ポイント1:突然サビ管が辞めても大丈夫>
サビ管が不在になっても、必要な実務経験がある従業員がいれば2年間のみなし配置になるので、その2年の期間中に「6ヶ月もしくは2年の実務経験→実践研修」の過程を十分に経ることができます。
<ポイント2:自社内の従業者の実務経験の確認をする>
従業員のこれまでの実務経験年数を正確に確認しておくことが要点です。特に他社から転職した場合、それまでの実務経験証明書が揃っているか必ず確認いたしましょう。もし現在手元に実務経験証明書がない場合、すぐに前職に依頼するなど対策は早めに打ちましょう。
<ポイント3:サービス管理責任者の基礎研修の受講を奨励する>
サビ管不在の「みなし配置」の猶予期間が2年に延長されるためには、不在時点で基礎研修を修了している必要があります。基礎研修の受講は必要な実務経験年数の2年前から受けることができるので準備いたしましょう。
※基礎研修の修了者でも2年間延長の対象とならない場合があります
基礎研修は必要な実務経験の2年前から受講できますが、その時点で修了しても2年間延長の条件である「実務経験を満たす」条件をクリアすることはできません。
障害福祉事業の多くでサービス管理責任が不在になれば、減算の適用という形で事業所の収益が下がります。
これまで1年間の「みなし配置」の猶予期間が過ぎれば減算が適用されました。
もし2年間の延長措置の対象とならなかった場合は、同じく1年を超えると減算になるのでご注意いたしましょう。
サビ管制度改定による事業所経営のポイント2:サビ管採用コストの削除
障がい福祉サービスの令和5年のサービス管理責任者の制度改定によって、サビ管不在の「みなし配置」の期間が2年間に延長されることにより、その結果、サービス管理責任者を新たに採用するコストが不要になりました。
<ポイント1:容易に自社内からサビ管を準備できる>
実務経験を経ている職員をとりあえず基礎研修だけ受けさせておけば、不在時に「みなし配置」することができて2年間の間に全研修を修了すれば、新しくサビ管を採用するコスト(紹介料/広告料等)が必要ではなくなります。
<ポイント2:自社内の従業者の実務経験の確認をする>
従業員のこれまでの実務経験年数を正確に確認しておくことが要点です。特に「1年」とみなすには180日以上の労働実績が必要になります。パート職員の場合、勤務日数と照らして、配置に必要な「実務経験年数」を割り出しておきましょう。
<ポイント3:ヘルパー2級の研修の受講を奨励する>
無資格者でもヘルパー2級の研修を修了すれば実務経験は5年に短縮されます。ヘルパー2級の研修は比較的容易で短時間なのでおすすめです。処遇改善計画の研修等の要件にも加えることができます。
サービス管理責任者の不在の「みなし配置」が6ヶ月と延長されたので、外部からではなく自社内で研修等を受けてもらってサビ管の配置が可能になりました。
これまではサビ管の求人は見つかりにくく、給与も他と比べて高いので事業所経営の課題でした。
しかし令和5年の制度変更により、外部から雇い入れる必要が減れば、サビ管の求人も賃金の基準が安くなったり募集が集まりやすかったりする傾向も出てくるでしょう。
まとめ
障がい者福祉事業の令和5年のサービス管理責任者の制度改定について詳しく分かりました。ありがとうございます。
まずは従業員の実務経験年数をしっかりと把握して、サビ管の不在時でも対処できるよう準備していきたいと思います。
令和5年のサービス管理責任者の制度改定により、実務経験年数の把握とその年数に達した職員の処遇が一層重要になりました。
特に必要な実務経験年数に達した職員にはすべからく基礎研修を受講してもらい、サビ管不在のトラブルの対処を事前に行っておきましょう。無資格者の場合は前もってヘルパー2級の研修を修了しておかれることをお勧めいたします。
しっかりとサービス管理責任者の配置の要件を守り、地域社会や関係機関からも信頼される事業拡大を行なってはいかがでしょうか。
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