★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。
障害者グループホームを運営していますが、令和6年度の報酬改定への対応が不安です。特に「地域連携推進会議」が令和7年度から義務化されますが、設立要件や運営方法がわかりにくく心配になっています。
そこでお尋ねしたいのですが、令和7年度義務化の「地域連携推進会議」をどのように準備して運営すればよいか、詳しく教えていただけますでしょうか?
障害者グループホームの「地域連携推進会議」は、支援の質の向上と透明化を目的に設定が義務付けられました。
ただ「地域連携推進会議」の設立や運営の要件を守って適切に実施しないと、運営指導でトラブルになるので注意が必要です。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 令和7年度義務化の「地域連携推進会議」の概要がわかります
- 「地域連携推進会議」の設立手順が最初からわかります
- 「地域連携推進会議」を運営する具体的な手法等がわかります
目次
【令和7年義務化】GH「地域連携推進会議」とは?要件や設立方法を解説
令和7年度より共同生活援助(障害者グループホーム)の支援の質の確保のため、地域の関係者や利用者家族などの外部の視点を取り入れることを目的とした「地域連携推進協議会」の設立・開催が義務付けられます。
<「地域連携推進協議会」の設立のポイント>
・利用者及びその家族、地域住民の代表、専門家、市区町村担当者により5名程度で構成します
・そのうち、利用者及びその家族と地域住民の参加は必須になります
<「地域連携推進協議会」の運営のポイント>
・1年に1回、協議会の構成員が事業所を見学します
・見学の結果の報告を受けて会議を開催します
・会議の中であがった要望、助言をまとめて事業所が会議記録を作成します
・事業所が上記の記録を市区町村に届出または公表いたします
令和7年度から義務化の「地域連携推進会議」の概要についてわかりました。
ただ「地域連携推進会議」を具体的に始めていくにあたって詳細な手順が知りたいので、「地域連携推進会議」の設立と運用について具体的に教えてもらえますか?
近年、障害者グループホームの支援の質の低下や虐待が問題になっており、質の向上と透明化は大きな課題であります。
そのような時勢で大切なことは、「地域連携推進会議」をうまく活用して自社の支援の質を上げて、多くの利用者を呼び込むよう活用することです。
以下では令和7年度から義務化の「地域連携推進会議」の設立・運営のポイントをわかりやすく説明いたします。
ステップ1:「地域連携推進会議」をどうやって始めるの?
令和7年に共同生活援助(障害者グループホーム)に義務化される「地域連携推進会議」の設立は、会議の構成員を選ぶことから始まり、参加依頼書等の手続きや個人情報管理の契約をすることが大切です。
<順序1:いくつの「地域連携推進会議」が必要か考える>
・「地域連携推進会議」は事業所番号を受けた事業所単位で設立が必要です(※法人単位ではありません)
・一つの事業所番号で複数の障害者グループホームがある場合、一つ一つに「地域連携推進会議」は必要ではありません
・ただ会議の構成員は障害者グループホームの各棟全てに訪問する必要はあります
<順序2:「地域連携推進会議」の構成員を選ぶ>
・利用者及びその家族と「地域住民」の参加は必須です
・「地域住民」とは、町内会や商店街の方、民生委員、学校関係者、NPO法人、地域の当事者が想定されます
・「専門家」として福祉や経営に知見がある方の参加も推奨されています
・構成員候補の方に資料を用いて説明し、参加依頼文を送る
<順序3:「地域連携推進会議」の構成員に対する承諾依頼と契約手続きの開始>
・「地域連携推進会議」の参加を承諾した方と、個人情報保護の同意書を締結する
・「地域連携推進会議」の参加を承諾した方と、参加承諾書を締結する
「地域連携推進会議」の設立で悩むポイントは、なかなか「地域住民」枠の参加者が見つからないことです
解決策としては、連携先の就労支援事業所、利用者についている計画相談支援員に参加を要請してみましょう。
また個人情報保護の同意書をもらう手続きを忘れやすいのでご注意ください。
ステップ2:「地域連携推進会議」のどうやって運営する?
令和7年に共同生活援助(障害者グループホーム)に義務化される「地域連携推進会議」の運営は、1年に1回以上の構成員の訪問と会議を適切に実施していく必要があります。
<順序1:「地域連携推進会議」の構成員が障害者GHを訪問する>
・GH側の負担がないよう構成員の訪問日時は分散させてください
・複数の障害者GHがある場合、構成員ごとに別々の共同生活住居を訪問することも可能です
・訪問による見学の際は、以下の「地域連携推進員の手引き」の抜粋を活用してください
<順序2:「地域連携推進会議」の構成員が会議を開催する>
・構成員により評価点をつけるのではなく、気づきや情報共有を構成員とGHで双方向で行います
・会議は2時間以上実施してください
・会議内容の個人情報の特定がないよう注意してください
・「虐待、事故、ヒヤリハットの報告」を行い、虐待防止研修や個別支援計画作成に役立ててください
・「利用者の意向アンケート」を行い、利用者のサービス担当者会議に役立ててください
<順序3:「地域連携推進会議」の議事録を作成し届出をする>
・個人情報の特定があれば匿名化してください
・会議の構成員全員に議事録案を確認してもらう了承を取ってください
・HP等に公表又は事業所内掲示を行うと共に、指定権者に届出をしてください
「地域連携推進会議」の会議における意見交換は、どのようにすれば当該障害者グループホームの支援の質を上げるのに役立つかを考えることが大切です
そこで特に虐待防止研修や虐待防止委員会の参考になるよう、会議のまとめ方を意識しましょう。
また個々の具体的なケースを扱っていては、個別支援計画のモニタリングに役立つこともあるので注意しておきましょう。
まとめ
令和6年度の報酬改定による「地域連携推進会議」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
令和7年度より義務化される「地域連携推進会議」を適切に運営できるよう準びをしたいと思います。
令和7年度義務化の「地域連携推進会議」は、障害者グループホームの質を上げて地域で評判を得るために活用いたしましょう。
地域住民を巻き込むことで障害者グループホームの評判を得ておけば、同じ地域で事業拡大する時に障壁が一つ減り楽になります。 また「地域連携推進会議」の内容は、虐待防止の取り組みや個別支援計画作成にも役立つので活用して支援の質を上げましょう。
令和6年度の報酬改定にもしっかり対応し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
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