現在障がい者グループホーム事業を行なっていて、事業安定のために大きい共同生活住居を探しています。。
ただ規模の大きい共同生活住居だと減算が適用されると聞いて心配です。
大規模な障がい者グループホームの共同生活住居に適用される減算について教えていただけないでしょうか?
大規模なグループホームの共同生活住居に対して適用される減算に「大規模住居等減算」という減算があります。
この「大規模住居等減算」を怖れて規模の大きな共同生活住居で運営しないと経営が安定しない可能性があります。
この記事ではグループホームの事業者様の理解の一助になるように以下のような内容がわかるように説明いたします。
- グループホームの「大規模住居等減算」の概要がわかります
- グループホームの「大規模住居等減算」の金額がわかります
- グループホームの「大規模住居等減算」のメリットがわかります
目次
(グループホーム)大規模住居等減算とは?あえて減算になるメリットも開設
障がい者グループホームを運営するに際して、共同生活住居の規模が一定以上の場合に「大規模住居等減算」が適用されます。
<「大規模住居等減算」とは>
共同生活住居の入居定員の規模に応じて、加算を取得する前の所定の単位数から以下の表の割合の減算を行います。
(入居定員) | (減算) |
8人以上 | 95%(=5%のマイナス) |
21人以上 | 93%(=7%のマイナス) |
21人以上(一体的な住居の合計) | 95%(=5%のマイナス) |
※「一体的な住居」について
同一敷地内または近接的な位置関係にある共同生活住居であり、かつ生活支援員や世話人がそれぞれの共同生活住居で明確に区別されていない場合を指します。
「大規模住居等減算」について基本的なことを理解することができました。ありがとうございます。
減算の額は大きくないのですが、それでも経営に影響しないか不安なので、減算になるとどの程度の額になり影響があるか教えてもらえるでしょうか?
グループホームは規模を大きくすればするほど安定する事業構造になります。
定員の多い共同生活住居を利用することは経営の安定にメリットですが、同時に減算のデメリットも生じてしまいます。
それではグループホームの「大規模住居等減算」についてしっかり説明したいと思います。
(基本)共同生活住居と定員の関係
障がい者グループホーム事業を行うには共同生活住居を設置する必要があり、その共同生活住居の定員数は条件によって異なるよう設定されています。
(条件) | (定員) |
平成18年10月1日以降に新設 | 2人以上10人以下 |
既存の建物を利用する | 2人以上20人以下 |
GHが少ない地域で知事が容認 | 21人以上30人以下 |
GHのための土地取得が困難な地域で知事が容認 | 2人以上30人以下 |
<そもそもグループホームを開業するための定員とは>
1つ以上の共同生活住居を確保し、その共同生活住居とサテライト型住居の合計定員の数が4人以上であることが求められます。
「大規模住居等減算」とは、共同生活住居の定員が8人以上が想定されているので、ある程度適用されることが前提になっている減算です。
つまりスタッフ不足の減算や個別支援計画未作成の減算と違ってペナルティの意味が少ないことが特徴です。
減算になることをだけ理由に定員を少なくすることは経営を不安定にするリスクもあるのでご注意ください。
あえて「大規模住居等減算」になるメリット
障がい者グループホームの定員数の拡大をはかり経営を安定させるには、あえて「大規模住居等減算」を適用しても収益上のメリットがあるかどうか計算することが大切です。
それでは以下の事例にそくして「大規模住居等減算」が適用されるパターンの具体的な金額とその影響を考えていきたいと思います。
計算式をできるだけシンプルにして減算の効果を測るために、加算は無しで支出は比率の殆どを占める人件費のみ焦点を当てています。
それでは早速シミレーションを行いましょう。
事例)
収入の要件: 介護サービス包括型/世話人4:1/入居者全員区分3/1単位=10円/家賃4万円
支出の要件: 常勤8時間/常勤月給18万円/パート時給1,000円
(項目) | 例1 | 例2 |
<収入> | ||
定員 | 7人 | 10人 |
基本報酬 | 800,100円 | 1,143,000円 |
大規模住居等減算適用 | - | 1,085,850円 |
(減算額) | - | (57,150円) |
家賃 | 280,000円 | 400,000円 |
=収入合計 | =1,080,100円 | =1,485,850円 |
=収入合計(1人あたり) | =154,300円 | =148,585円 |
<支出> | ||
人件費 | 244,000円 | 284,000円 |
人件費(1人あたり) | =34,857円 | =28,400円 |
<収入-支出> | ||
=収支差(1人あたり) | =119,443円 | =120,185円 |
<あえて「大規模住居等減算」になるメリット>
上記例1と例2の収支差(1人あたり)を比較しても、減算を適用して少なくなるわけでもなく、逆に1人あたりの収入は定員が増えると同時に増額していっています。
その「大規模住居等減算」の影響が殆どなくなる理由は、減算の額に比べて人数が増えても人件費は高騰せず抑えられるからです 。
つまりグループホームは規模を大きくするほど収益が安定するという法則は、たとえ「大規模住居等減算」が適用されたとしても変わらないということです。
規模が例の10人よりも大きくなれば減算の額も増えますが、1人あたりの人件費も抑制されるので大差はないでしょう。
まとめ
本日は障がい者グループホームの「大規模住居等減算」について教えていただきありがとうございました。
規模を大きくして経営の安定を目指すために、定員の多い共同生活住居の物件を探しても問題ないとわかり安心いたしました。
障がい者グループホームの経営の安定は、できるだけ利用者を増やして国保連からの収入を増やすことです。
そのために、たとえ「大規模住居等減算」が適用されたとしても大規模の共同生活住居を利用するメリットはあります。。
元々介護保険のデイサービスで利用していた物件など部屋数も多く、グループホームとしても利用しやすいので、ぜひ狙って探してみてはいかがでしょうか。
戸根行政書士事務所からのお知らせ
<常勤換算について>
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【基本】常勤換算について徹底解説!計算方法/注意点/よくある質問まで
・【必見】利用者数の計算の仕方のポイント!人員配置の注意点まとめ
・【まとめ】グループホームの人員配置の計算とは?初歩から注意点まで解説
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
<減算について>
・【基本】人員欠如の減算とは?計算方法や注意点も解説
・【詳解】人員欠如の減算:基準や緊急対応・防止策をご説明
・【詳解】サービス管理責任者欠如減算と個別支援計画未作成減算とは?
<事業所管理の健全化に努める>
・【注意】利用者紹介のために紹介料を払う?利益供与の問題点と対策
・【基本】土曜日開業の注意点とは?人員配置等の問題を解説
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
<夜間支援の加算等>
・【基本】夜勤職員加配加算の要件とは?注意点やオススメ活用事例あり
・【基本】重度障害者支援加算とは?注意点や活用事例あり
・【最新版】夜間支援等体制加算とは?注意点・活用事例も紹介
・【注意】グループホームの夜間支援体制のスタッフ配置:注意点も解説
・【要点】「夜間支援等体制加算」の利用者数の計算とは?
<医療/入院関係の加算等>
・【基本】看護職員配置加算とは?要件・活用事例も解説
・【基本】医療連携体制加算とは?要件・注意点・おすすめ活用も解説
・【注意点】個人単位で居宅介護は利用できるの?要件や注意点を説明
・【基本】強度行動障害者体験利用加算とは?取得条件や活用事例も紹介
・【基本】長期入院時支援特別加算とは?基準や注意点を解説
・【基本】入院時支援特別加算とは?基準や注意点を解説
・【基本】医療的ケア対応支援加算とは?加算条件や活用方法も解説
・【基本】「帰宅時支援加算」とは?取得条件や間違えやすいポイントを解説
・【基本】「長期帰宅時支援加算」とは?取得条件や間違えやすい点を解説
・【基本】「地域生活移行個別支援特別加算」とは?取得条件や活用法を解説
<利用者さんとのトラブルを避ける対策>
・【まず知りたい】グループホーム運営は何が難しいの?
・【注意】グループホーム利用者との金銭トラブルについて
・【質問】「通院時も付き合って欲しい」と言われたら?通院支援の対策を解説
・【注意】グループホームの費用設定はどのように?利用者負担も解説
・【基本】グループホーム体験利用の注意点とは?利用者負担の設定に留意
<実地指導のトラブルにならないための対策>
・【まず知りたい】実地指導とは?チェックリストもお教えします
・【直前対策】実地指導を受ける時の対応の注意点!
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【トラブル多発】グループホームの土日祝の支援とは?基本や注意点も解説
・【よく間違える】日中支援加算とは?基準や注意点を解説
・【基本】グループホームの人員配置の計算とは?初歩から徹底解説
・【注意】生活支援員を外部業者に委託する際の注意点とは?
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
・【注意】大規模住居等減算とは?あえて減算になるメリットも解説
・【義務化】虐待防止委員会とは?運営規程の書き方から記録書類まで解説
<事業所管理の健全化に努める>
・【注意】サービス管理責任者を配置する注意点とは?間違いやすい例も解説
・【注目】生活支援員の配置の注意点とは?外部の業務委託も解説
・【基本】勤務体制一覧表の注意点は?間違えやすいシフト例も解説
・【注意】定員増加の注意点とは?報酬額や人員配置の問題解説
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【基本】障害者グループホームに短期入所を併設して収益を上げる方法とは?
<処遇改善加算を適正に取得する>
・【基本】福祉・介護職員処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
・【基本】福祉・介護職員「特定」処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
・【注意】処遇改善加算・特定処遇改善加算の対象職種とは?注意点も徹底解説
・【注意】処遇改善キャリアパス要件を満たすとは?記述例・失敗例あり
・【基本】賃金改善の方法をわかりやすく解説:トラブル防止の注意点もあり
・【注意】処遇改善加算等の社会保険料の計算の仕方とは?改善額の組み入れ