★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。
障害者グループホームを運営していますが、令和6年度の報酬改定への対応が不安です。特に「退居後共同生活援助サービス費」が新設されましたが、取得要件がわかりにくく心配になっています。
そこでお尋ねしたいのですが、令和6年度の報酬改定の障害者グループホームに新設の「退居後共同生活援助サービス費」を算定する上でどのようなポイントに注意すればいいか、詳しく教えていただけますでしょうか?
障害者グループホームの「退居後共同生活援助サービス費」は、一定の支援を受けてからGHを退居した方への支援に対する報酬です。
ただし「退居後共同生活援助サービス費」は支援頻度や期間にそれぞれ算定要件があり、しっかり理解していないと実地指導でトラブルになるので注意が必要です。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 令和6年度に新設された「退居後共同生活援助サービス費」がわかります
- 「退居後共同生活援助サービス費」の条件と活用方法がわかります
- 「退居後共同生活援助サービス費」の根拠資料の整理方法がわかります
目次
【令和6年報酬改定】GH 新「退居後共同援助サービス費」とは?要件や活用法を解説
令和6年度の報酬改定により新設される「退居後共同生活援助サービス費」とは、「自立生活支援加算の対象者であるGH退去者」に対して、週1回以上居宅に訪問して相談援助を行うことで算定することができます。
(種類) | (算定条件) | (単位) |
退居後共同生活援助サービス費 | ・自立生活支援加算(I)or(III)の算定対象者 ・週1回以上の訪問による相談援助 ・医療機関等との連絡調整 | 2000単位/月 |
<「退居後共同生活援助サービス費」の注意点>
・利用者の一人暮らしへの移行に関するサービス担当者会議の開催が必要です
・個別支援計画の作成が必要です
・退去日の属する月から3ヶ月間のみ算定できます(※市町村が認めれば6ヶ月間)
・月途中から算定する場合は1月に2日以上の対面による訪問や同行があれば算定できます
※「退居後共同生活援助サービス費」と他の加算について
退去後に上記退去後生活援助サービスを行う場合、同時に算定できる加算は、「退去後ピアサポート実施加算」と「処遇改善加算」だけになります(※つまり人員配置体制加算等や夜間支援体制加算は算定できません)。
☝︎参考:令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等に関するQ&AVOL.5
令和6年度の報酬改定により新設された「退居後共同生活援助サービス費」についてわかりました。
ただ「退居後共同生活援助サービス費」の根拠資料や活用法がわからないので、「退居後共同生活援助サービス費」を上手に使う方法とパターンなどを教えてもらえますか?
令和6年度の報酬改定は障害者グループホームに定住せず、そこから一人暮らしへの促進をしっかり評価いたします。
そこで「退居後共同生活援助サービス費」を活用するために大事なのは、訪問頻度と支援内容の記録をきっちり守ることです。
以下では令和6年度の報酬改定による「退居後共同生活援助サービス費」の算定ポイントをわかりやすく説明いたします。
根拠資料:支援内容の記録について
令和6年報酬改定で新設された「退居後共同生活援助サービス費」を算定するためには、条件である週1回以上の訪問内容の支援記録をしっかり整理しておくことです。
<退去後の相談援助の記載例について>
・在宅での心身の状態や環境の相談
・ゴミ捨て、家電の使い方、買い物場所の確認など伝える援助
・新規通所事業所や医療機関との情報共有等
・居住支援法人又は居住支援協議会との情報共有する
※職員による訪問の時間と人員配置基準について
・世話人や生活支援員は基本的に共同生活住居に勤務いたします
・よって訪問援助で外出した時間は全て、必ずしも人員配置基準を満たす時間数に入れることはできません
・そこで常勤配置の職員が時間外で対応することが多いので時間外手当等についてお気をつけください
令和6年度に新設された「退居後共同生活援助サービス費」は、希望者全員に適用できるわけでなく、そもそも「自立生活支援加算」を取得していたことが条件になるのでご注意ください
また週1回以上、居宅に訪問するので意外と時間を使ってしまうことも留意しておきましょう。
特に担当職員の人員配置時間と、グループホームの必要人員配置の関係についてはお気をつけください。
活用法:退去後ピアサポート実施加算との組み合わせ
令和6年報酬改定に新設の「退居後共同生活援助サービス費」は、「退居後ピアサポート実施加算」の算定と組み合わせることで、当事者の視点を踏まえたより包括的な地域移行支援を実施することができます。
(種類) | (算定条件) | (単位) |
退居後ピアサポート実施加算 | ・退去後共同生活援助サービス費算定 ・研修修了者が2名以上(1名は当事者) ・研修修了者による研修が年1回以上 | 100単位/月 |
(種) | (基本報酬) | (その他加算) | (合計) |
パターン | 退居後共同生活援助サービス費 (2000単位/月) | 退去後ピアサポート実施加算 (100単位/月) | 21,000円/月 |
「退居後共同生活援助サービス費」は「退居後ピアサポート実施加算」と組み合わせることで、収益増のみならず当事者の視点を加えた包括的な支援を目指せます
ただ「退居後ピアサポート実施加算」を算定するには研修修了者を用意する必要があり、場合によっては時間がかかります。
また当事者や研修修了者と共に3ヶ月の間どのように地域生活の適用をステップアップしていくか計画を作成できることもポイントです。
まとめ
令和6年度の報酬改定による「退居後共同生活援助サービス費」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
新設された「退居後共同生活援助サービス費」を算定するために退居後の支援をしっかりしたいと思います。
令和6年度の報酬改定により、一人暮らしに向けた支援を行う障害者グループホームが評価されるようになりました。
退居後支援に対して算定できる「退居後共同生活援助サービス費」は、「退居後ピアサポート加算」と合わせると21,000円/月(一人)になり、週1回以上の訪問なので月4回、つまり1回あたり5千円程度の報酬になります。 ただし「退居後共同生活援助サービス費」のための訪問支援には交通費や人件費もかかり、その時間等は人員配置基準にも入れるのが難しいので上手な経営管理が求められます。
令和6年度の報酬改定にもしっかり対応し、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
戸根行政書士事務所からのお知らせ
<令和6年度報酬改定について>
・【必読】障害者グループホーム,まず確認ポイントは?重要変更点を解説
・【新設】人員配置体制加算とは?特定従業者数換算方法のポイント解説
・【改定】GH自立生活支援加算(I)~(III)とは?算定要件から活用方法も解説
・【新設】(退居後)ピアサポート実施加算とは?算定要件から活用方法も解説
・【新設】「退居後共同生活援助サービス費」とは?算定要件から活用法方法を解説
<常勤換算について>
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【基本】常勤換算について徹底解説!計算方法/注意点/よくある質問まで
・【必見】利用者数の計算の仕方のポイント!人員配置の注意点まとめ
・【まとめ】グループホームの人員配置の計算とは?初歩から注意点まで解説
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
<減算について>
・【基本】人員欠如の減算とは?計算方法や注意点も解説
・【詳解】人員欠如の減算:基準や緊急対応・防止策をご説明
・【詳解】サービス管理責任者欠如減算と個別支援計画未作成減算とは?
<事業所管理の健全化に努める>
・【注意】利用者紹介のために紹介料を払う?利益供与の問題点と対策
・【基本】土曜日開業の注意点とは?人員配置等の問題を解説
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
<夜間支援の加算等>
・【基本】夜勤職員加配加算の要件とは?注意点やオススメ活用事例あり
・【基本】重度障害者支援加算とは?注意点や活用事例あり
・【最新版】夜間支援等体制加算とは?注意点・活用事例も紹介
・【注意】グループホームの夜間支援体制のスタッフ配置:注意点も解説
・【要点】「夜間支援等体制加算」の利用者数の計算とは?
・【注目】夜間支援の「断続的労働」の注意点とは?夜間加算とオススメ活用法
<医療/入院関係の加算等>
・【基本】看護職員配置加算とは?要件・活用事例も解説
・【基本】医療連携体制加算とは?要件・注意点・おすすめ活用も解説
・【注意点】個人単位で居宅介護は利用できるの?要件や注意点を説明
・【基本】強度行動障害者体験利用加算とは?取得条件や活用事例も紹介
・【基本】長期入院時支援特別加算とは?基準や注意点を解説
・【基本】入院時支援特別加算とは?基準や注意点を解説
・【基本】医療的ケア対応支援加算とは?加算条件や活用方法も解説
・【基本】「帰宅時支援加算」とは?取得条件や間違えやすいポイントを解説
・【基本】「長期帰宅時支援加算」とは?取得条件や間違えやすい点を解説
・【基本】「地域生活移行個別支援特別加算」とは?取得条件や活用法を解説
・【基本】「精神障害者地域移行特別加算」とは?間違いや活用法を解説
・【基本】「強度行動障害者地域移行特別加算」とは?間違いや活用法を解説
・【基本】「通勤者生活支援加算」とは?よくある間違いや注意点を解説
・【基本】「自立生活支援加算」とは?注意点やオススメ活用法を解説
<利用者さんとのトラブルを避ける対策>
・【まず知りたい】グループホーム運営は何が難しいの?
・【注意】グループホーム利用者との金銭トラブルについて
・【質問】「通院時も付き合って欲しい」と言われたら?通院支援の対策を解説
・【注意】グループホームの費用設定はどのように?利用者負担も解説
・【基本】グループホーム体験利用の注意点とは?利用者負担の設定に留意
<実地指導のトラブルにならないための対策>
・【まず知りたい】実地指導とは?チェックリストもお教えします
・【直前対策】実地指導を受ける時の対応の注意点!
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【トラブル多発】グループホームの土日祝の支援とは?基本や注意点も解説
・【よく間違える】日中支援加算とは?基準や注意点を解説
・【基本】グループホームの人員配置の計算とは?初歩から徹底解説
・【注意】生活支援員を外部業者に委託する際の注意点とは?
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
・【注意】大規模住居等減算とは?あえて減算になるメリットも解説
・【義務化】虐待防止委員会とは?運営規程の書き方から記録書類まで解説
<事業所管理の健全化に努める>
・【注意】サービス管理責任者を配置する注意点とは?間違いやすい例も解説
・【注目】生活支援員の配置の注意点とは?外部の業務委託も解説
・【基本】勤務体制一覧表の注意点は?間違えやすいシフト例も解説
・【注意】定員増加の注意点とは?報酬額や人員配置の問題解説
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【基本】障害者グループホームに短期入所を併設して収益を上げる方法とは?
<処遇改善加算を適正に取得する>
・【基本】福祉・介護職員処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
・【基本】福祉・介護職員「特定」処遇改善加算とは?条件・注意点を解説
・【注意】処遇改善加算・特定処遇改善加算の対象職種とは?注意点も徹底解説
・【注意】処遇改善キャリアパス要件を満たすとは?記述例・失敗例あり
・【基本】賃金改善の方法をわかりやすく解説:トラブル防止の注意点もあり
・【注意】処遇改善加算等の社会保険料の計算の仕方とは?改善額の組み入れ
<事業所管理の健全化に努める>
・【注意】利用者紹介のために紹介料を払う?利益供与の問題と対策
・【基本】土曜日開業の注意点とは?人員配置等の問題を解説
・【必読】常勤換算の計算総まとめ!減算にならないためのポイント
・【必見】サービス管理責任者の兼務を徹底解説!間違えやすい点も説明
・【義務化】虐待防止委員会とは?運営規程の書き方から記録書類まで解説
・【義務化】身体拘束適正化委員会と「身体拘束廃止未実施減算」とは
<年度ごとの義務化への対応>
・【令和3年度】障害福祉のハラスメント防止の対策とは?運営規程の変更案
・【令和4年度】虐待防止委員会とは?運営規程の書き方から記録書類まで解説
・【令和5年度】身体拘束適正化委員会と「身体拘束廃止未実施減算」とは
・【令和6年度】感染対策委員会とは?運営規定の書き方から記録書類まで
・【令和6年義務】業務継続計画(BCP)とは?書き方から研修・訓練実施方法まで