長年の夢であった障がい者を対象とするグループホームを開業する計画を立てています。
必要書類の勤務体制一覧表を作ろうとしているのですが、指定基準や法令を守れているか心配です。
障がい者グループホームの勤務体制一覧表を作成する際にどのような点に注意すればいいでしょうか?
グループホームは365日の支援が基本で場合によっては夜間がある形態になるのが一般的です。
厳密な意味の営業時間は曖昧なものになり、勤務形態一覧表の作成は簡単なようで注意を必要といたします。
この記事ではグループホームの事業者様の理解の一助になるように以下のような内容がわかるように説明いたします。
- グループホームのシフト管理を合理的に計画する方法がわかります
- グループホームの勤務体制一覧表を作成する際の注意点がわかります
- グループホームを最小限の人数で稼働させるコツがわかります
<グループホーム事業の人員配置の経営の課題>
グループホームで収益を安定させるにはパート職員を効率よく配置して人件費を抑えることが課題でありますが、非常勤の人員が増えると管理業務の負担も大きくなります。
目次
(グループホーム)勤務体制一覧表の注意点は?間違えやすいシフト例も解説
障がい者グループホームの人員配置や勤務形態一覧表を適切に作成するために、基本的に以下の事項について理解している必要があります。
<常勤換算について>
・【基本】常勤換算について徹底解説!計算方法/注意点/よくある質問まで
・【必見】利用者数の計算の仕方のポイント!人員配置の注意点まとめ
・【まとめ】グループホームの人員配置の計算とは?初歩から注意点まで解説
<減算について>
・【基本】人員欠如の減算とは?計算方法や注意点も解説
・【詳解】人員欠如の減算:基準や緊急対応・防止策をご説明
・【詳解】サービス管理責任者欠如減算と個別支援計画未作成減算とは?
驚くことに、障がい者グループホームの人員配置を適正に行おうとすれば多くの事項を理解しないといけないのですね。
それではこうした人員配置の基本を理解し、それを勤務体制一覧表に反映させていく際に、どのような注意点があるか教えてもらえるでしょうか?
勤務体制一覧表は一週間の期間の流れの中で、人員配置の基準を守りつつ勤務時間を埋めていくことポイントになります。
しかし特に夜間を組み入れると常勤換算の計算を間違い、自治体とトラブルになるおそれが生じます。
それではグループホームの勤務体制一覧表作成の注意点についてしっかり説明したいと思います。
(夜勤に注意!)1日は常勤時間内
障がい者グループホームの勤務体制一覧表で、朝シフト・夜シフト・夜間シフトのどれかを兼務する場合は常勤時間内に勤務時間を収めるように注意致しましょう。
<グループホームの基本的な勤務パターン>
朝シフト :起床から出発まで(例: 6時〜10時)
夜シフト :帰宅から就寝まで(例:16時〜22時)
夜間シフト:就寝から起床まで(例:22時〜 5時)
<夜間シフトの注意点>
22時から翌朝の5時まで勤務した場合、その労働時間は22時が属する前日の労働時間としてカウントされます。
例:6日の22時から7日の5時まで6時間勤務した場合、6日の労働時間が6時間になります。
※間違えやすいポイント
1日の常勤労働時間が6時間の場合、夜シフト(6時間)と夜間シフト(6時間)を兼務している際に、夜シフトだけで常勤時間を使ってしまい、夜間に労働していても配置している見なすことができません。
グループホームで勤務体制一覧表を作成する時に、夜シフトと夜間シフトを兼務する場合は注意が必要です。
夜シフトと夜間シフトを兼務すればシフトの都合が楽であり、スタッフの数が十分ではない開業当初に計画しがちです。
しかしそれでは夜間に人員を配置していないと認識され、夜間支援の加算を取得していれば返金の可能性もあります。
「36協定を結んで労働時間を延長すればいいのでは?」
答:36協定を締結してもグループホームの人員配置としてカウントされるのは1日8時間までです。それを超える勤務時間は基準として必要とされる数値に含まれません。
夜間シフトとの兼務:休憩時間の設定のコツ
障がい者グループホームの勤務体制一覧表では、シフトの合理化を進めるために夜間シフトと他のシフトを兼務させる場合は「夜間シフトの休憩時間の設定」がポイントになってきます。
<夜間シフトの休憩時間の設定について>
労働基準法により6時間以上の労働を行えば休憩時間を設定することが義務付けられています。
それゆえに夜間シフト(22時〜5時)には一定時間の休憩を設定することができて、夜シフトと兼務しても1日の常勤時間内に収められる可能性が生じます。
※夜間シフトの休憩時間は何時間必要?
明確な基準はなく、利用者さんの支援を必要とする現状に対して十分な時間を確保すれば、原則残りの時間を休憩時間に設定することが可能です。
<夜間シフトに休憩時間を設定する注意点!>
・事前に休憩時間を本人や家族等に説明しておく
・個別支援計画に休憩時間を設定した前提の夜間支援内容を記載する
・全利用者に対して夜間に必要な支援が十分に行える時間を確保する
<休憩時間の設定の注意点>
・自治体によっては、常勤換算のための勤務時間数に休憩時間(※労働基準法上の必要時間)を含めるところもあります
・他方で、常勤換算に原則的に休憩時間を含めない自治体もあるので要確認です
・いずれにせよ休憩時間を設定する際に、配置職員がゼロの場合は指導が入るケースがあるのでお気をつけください
例えば1日の常勤時間が8時間であれば、夜シフト4時間と夜間シフト4時間で、十分に両シフトの兼務が可能になります 。
開業当初は人件費を抑えるために常勤時間を少なく設定しがちですが、最小限の人数で稼働させるシフトの合理性を考慮すると、常勤時間を8時間程度に設定することも戦略です。
ただ理由もなく夜間のシフトの休憩時間を増やすことは人員欠如と見做される可能性があるので注意してください。
最小限人数で稼働させるポイント
障がい者グループホームは1週間すべての曜日に支援を行うので、一定の人員配置のパターンさえ抑えれば、最小限の人数で稼働させることは難しくありません。
(前提)
介護サービス包括型のグループホームで、区分3の定員5名という小規模でありながら、世話人の配置は利用者4人に1人の高い報酬単位を狙う場合。
※夜間支援体制等加算(I)も算定する
<最小限の人数で勤務体制一覧表を作るポイント>
・夜間シフト(=「夜間従業者」)と朝シフト(=「世話人」)を兼務させる常勤スタッフを作る
・常勤の管理者を「生活支援員」と兼務させ、夜シフトに配置する
・「生活支援員」はパートで埋めるか外部に委託を検討する
夜間シフトと朝シフトを兼務する常勤スタッフは2人いれば、少人数で勤務体制一覧表を作成することは難しくなく、後はパートで稼働させることができます。
特に「生活支援員」は障害福祉事業で珍しく従業員を外部委託できるので、自社で雇用の管理や給与支払いの事務作業を省くメリットもあります。
頭数でいうとサビ管以外で5人程度をご想像いただければわかりやすいかと思います。
サービス管理責任者は非常勤で雇用
障がい者グループホームの勤務体制一覧表を合理的に作成する際に、サービス管理責任者は非常勤で雇用した方が人件費を節約できて開業初期の財政的な負担になりません。
<非常勤のサービス管理責任者を見つけるポイント>
・定年退職後にお小遣い稼ぎ程度の収入を求める方
・他のグループホームのサビ管を兼務している経験者
・休職から復帰して常勤で働けない方
上記のような非常勤のサービス管理責任者を見つけるポイントをハラーワークに伝えるとスムーズに該当者が見つかったと聞きます。
管理者を常勤配置することが必須というグループホームの形態は「管理者」の責任が重く、他の障害福祉サービスと比較してサビ管の勤務状況は厳密に規定されません。
ただ非常勤とはいえモニタリング等はしっかり行う必要があるので、モニタリング時期の記録は注意して管理いたしましょう。
まとめ
本日は障がい者グループホームの勤務体制一覧表の作り方、朝・夜・夜間のシフトの合理的な組み方について教えていただきありがとうございました。
誰をどの時間にどのように配置していいか頭が混乱していたので、実際の経験に根ざした様々なポイントを教えていただいて経営の不安が少し軽くなりました。
まずグループホームごとの常勤時間を慎重に設定し、各期間のシフトを兼務させる場合は1日の常勤時間内にするようご注意ください。
グループホームの勤務体制は、時間数の配置(=様式1)だけでなく、時間帯の配置(=様式1−2)まで自治体から確認されます。。
開業当初は人件費削減のために最少人数を目指すとはいえ、法令をしっかり守り、利用者さんへの支援を不足させないよう、朝・夜・夜間と誰が何時間勤務するのか決めていきましょう。
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