【GH】「強度行動障害者地域移行特別加算」とは？よくある間違いや活用法を解説

2023.11.23
加算, 運営支援

　障害者グループホームを運営していますが、強度行動障害の方の受け入れの相談が増えています。ただ、強度行動障害の方の入居支援は負担が多くスムーズに進まないので加算を活用したいです。
　お尋ねしたいのですが、障がい者グループホームの「強度行動障害者地域移行特別加算」を活用する上での注意点やオススメの活用法を詳しく教えていただけますでしょうか？

　障がい者グループホームへの強度行動障害の方の移行支援に関して主要な加算が「強度行動障害者地域移行特別加算」です。
　ただ「強度行動障害者地域移行特別加算」は単位数が高いけれども、対象者要件やGH側の体制状況に条件があり、遵守していないと実地指導でトラブルになるリスクがあります。
　この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。

「強度行動障害者地域移行特別加算」の申請条件がわかる
「強度行動障害者地域移行特別加算」のメリットや注意点がわかる
「強度行動障害者地域移行特別加算」のオススメ活用方法がわかる

1 【GH】「強度行動障害者地域移行特別加算」とは？注意点やオススメ活用法を解説
- 1.1 「強度行動障害者地域移行特別加算」の算定上の注意点
- 1.2 「強度行動障害者地域移行特別加算」のオススメ活用法
2 まとめ
- 2.1 戸根行政書士事務所からのお知らせ

【GH】「強度行動障害者地域移行特別加算」とは？注意点やオススメ活用法を解説

　障害者グループホーム（共同生活住居）で取得できる「強度行動障害者地域移行特別加算」とは、障害者施設に１年以上入院していた強度行動障害者に対して、専門の研修修了者により、地域生活のための相談援助や個別支援を行なった場合に算定することができます（※施設退所から１年以内）。

＜「強度行動障害者地域移行特別加算」の支援内容について＞
・自傷や異食などの危険行為の回避の援護や介護
・こだわりやもの壊しを避けるための相談援助
・睡眠の乱れを避けるための体調管理

（加算名）	（単位）
強度行動障害者地域移行特別加算	３００単位／日

※「強度行動障害者地域移行特別加算」の収入の目安
３００単位 × １０円／単位 × ３０日 × １２ヶ月＝１,０８０,０００円／年

　障害者グループホームで活用できる「強度行動障害者地域移行特別加算」の概略についてわかりました。
　ただ実際に「強度行動障害者地域移行特別加算」を活用する上でどのようなポイントに注意し、どのように活用していくのがオススメか教えてもらえるでしょうか？

　「強度行動障害者地域移行特別加算」は、対象者１人につき１年間で約１００万円の増収が見込める有益な加算です。
　ただ「強度行動障害者地域移行特別加算」は算定上の注意点があったり、他の加算との組み合わせを覚えておいたりすることが大切です。
　以下では更に「強度行動障害者地域移行特別加算」を活用する上での注意点やオススメ活用法をわかりやすく説明いたします。

「強度行動障害者地域移行特別加算」の算定上の注意点

　障害者グループホームで「強度行動障害者地域移行特別加算」を算定しようとする場合、加算の算定対象者や算定期間、または支援者に研修要件等の制約があるので注意して算定いたしましょう。

＜「強度行動障害者地域移行特別加算」の対象者＞
・加算の算定対象は、区分認定調査で行動関連で１０点以上の者
・加算の算定対象は、障害者施設に１年以上入所していた者

＜「強度行動障害者地域移行特別加算」の算定期間＞
・加算の算定回数は、退去後１年以内（※一定期間を居宅で生活しても１年以内なら算定可能）

＜「強度行動障害者地域移行特別加算」の人員配置＞
・強度行動障害支援者要請研修（実践研修）もしくは行動援護従事者要請研修の修了者を１人以上配置
・生活支援員の内に上記研修修了者が２０%以上（※常勤換算でなく実人数）
・「重度障害者支援加算」を算定している場合は算定不可
・強度行動障害者への支援を個別支援計画に記載する

　「強度行動障害者地域移行特別加算」の算定の注意点は、強度行動障害支援者要請研修の「実践研修」の修了者が必要であり、「基礎研修」ではない点です。
　その上研修修了者が、生活支援員の２０%以上を占めることにも留意いたしましょう。
　その他、並行して算定しやすい「重度障害者支援加算」と一緒に取得することは出来ない点も忘れないでおきましょう。

「強度行動障害者地域移行特別加算」のオススメ活用法

　障害者グループホームで算定できる「強度行動障害者地域移行特別加算」は、その加算の要件を満たしていれば取得できる「強度行動障害者体験利用加算」等と組み合わせて、強度行動障害者を地域で受け入れる体制づくりに役立ちます。

＜強度行動障害者の受入れで活用できる他の加算＞
・「強度行動障害者体験利用加算」(400単位/日)：強度行動障害者の体験利用で取得できます
・「重度障害者支援加算」(180単位/日)：区分４以上の強度行動障害者支援

※「強度行動障害者地域移行特別加算」と「重度障害者支援加算」(180単位)の関係
・金額は「強度行動障害者地域移行特別加算」(300単位)の方が高い
・「強度行動障害者地域移行特別加算」は退所後１年以内という期間の限定があります
・１年間は地域移行特別加算を算定し、その後は「重度障害者支援加算」を取得する

　障害者グループホームに強度行動障害者の受入の相談があれば、まず体験利用を進め、体制が揃っていれば「強度行動障害者体験利用加算」を取得いたしましょう。
　そして実際に生活を始められた後に退所から１年が経てば、「重度障害者支援加算」に切り替えることが大切です。
　強度障害者の受け入れるタイミングごとで取得できる加算を整理しておきましょう。

まとめ

　障害者グループホームで活用できる「強度行動障害者体験利用加算」について詳しく分かりました。ありがとうございます。
　「強度行動障害者体験利用加算」の要件に合致した利用者さんがいるか見直し、「強度行動障害者体験利用加算」を間違いなく算定できるようにいたします。

　「強度行動障害者体験利用加算」は強度行動障害車１人あたり年間で１００万円ほどの増収をもたらします。
　ただ強度行動障害の方の受け入れは大変な負担がかかるので、取得できる加算額は増員する人件費に殆どが費やされる可能性があります。強度行動障害者の支援は虐待とみなされるリスクも高いので、「強度行動障害者体験利用加算」を活用して支援者の増員をいたしましょう。
　そして強度行動障害者をしっかりと受け入れ可能な体制づくりを行い、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。