★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
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障害者グループホーム(共同生活援助)を運営していますが、令和6年の障害福祉の報酬改定のことが気になります。基本報酬の設置の仕方と新しい「人員配置体制加算」が新設され、どのように対応したら良いかわかりません。
そこでお尋ねしたいのですが、令和6年の報酬改定で障害者グループホーム(共同生活援助)の「人員配置体制加算」のことを、詳しく教えていただけますでしょうか?
令和6年度の報酬改定で障害者グループホーム(共同生活援助)の制度は大きく変わります。
もし令和6年度の報酬改定に適切に対応できないと、障害者グループホーム(共同生活援助)の経営にマイナス面の影響が出るかもしれません。
この記事では事業者様の理解の一助になるように以下の内容を説明いたします。
- 令和6年度報酬改定の障害者グループホーム(共同生活援助)の重要変更点がわかります
- 令和6年度報酬改定で新設された「人員配置体制加算」の活用方法がわかります
- 令和6年度報酬改定によるGHの収益増減の具体的なシミュレーションがわかります
目次
【令和6年報酬改定】人員配置体制加算とは?特定従業者数換算方法のポイント解説
令和6年度の障害者グループホーム(共同生活援助)の報酬改定により基本報酬の単位設定は大きく変わり、世話人の配置割が「4:1/5:1/6:1」の三択から選べた従来の制度が、令和6年度から「6:1」の一択(+「人員配置体制加算」)に変更されました。
<「人員配置体制加算」とは>
基準となる世話人・生活支援員の常勤換算数(小数点第二位切り上げ)に加えて、「特定従業者数換算方法」により12:1もしくは30:1で世話人や生活支援員を加配した場合に区分に応じて1日の基本報酬に追加して算定できます。
※「特定従業者数換算方法」について
・加配対象の世話人や生活支援人の週延べ勤務時間数を40時間(※事業所ごとで設定する常勤換算時間ではありません!)で割ります(=A)
注意1:常勤職員でも有給や病欠があればその時間は加配時間に入りません。
↓
・前年度平均利用者数を12もしくは30で割ります(=B)
↓
・A>Bなら「人員配置体制加算」
例)前年度平均利用者14.4で12:1で算定⇨週合計48時間以上加配するなら算定可能
<「人員配置体制加算」の収益増の例>
例)当月利用回数100回(区分3)/前年度平均は5人/職員は週合計34時間加配/12:1で算定
・34時間 ÷ 40時間 ≒ 0.9
↓
・5人 ÷ 12 =0.4
↓
・0.9 > 0.4 ⇨ 「人員配置体制加算」(1日77単位)の算定可能
↓
・100回 × 77単位 × 10円/単位 = 77,000円収益増
(区分) | 12:1(加算I) | 30:1(加算II) |
区分4以上 | 83単位/日 | 33単位/日 |
区分3以下 | 77単位/日 | 31単位/日 |
令和6年度の報酬改定の障害者グループホーム(共同生活援助)の基本報酬の変更についてわかりました。
ただ実際に令和6年度の報酬改定に伴い基本報酬の変更と人員配置体制加算を活用するために、どのようなポイントに注意し、どのようトラブル対策が有効か教えてもらえるでしょうか?
令和6年度の障害者グループホーム(共同生活援助)の制度変更のポイントは、従来は常勤換算数を低く設定した事業所とそれ以外の不公平さを無くす点にあります。
それ故に令和6年度の報酬改定により事業所経営の収益がどう変わるかを把握し、常勤換算時間を適正に設定することが大切です。
以下では令和6年度報酬改定の基本報酬の仕組みと人員配置体制加算のポイントをわかりやすく説明いたします。
基本報酬+人員配置体制加算は儲かるのか?!
令和6年度の報酬改定により、障害者グループホーム(共同生活援助)は、4:1から6:1までの基本報酬の選択制から、基本報酬+「人員配置体制加算」の組み合わせが報酬のベースに変更しましたが、全体的に見れば収益は微減するとお考えください。
(項目) | 令和5年度以前: 4:1配置 | 令和6年度: 6:1配置/12:1加算 |
基本報酬 | 381単位 | 297単位 |
人員配置体制加算(I) | ー | 77単位 |
夜間支援体制加算(I) | 187単位 | 187単位 |
日数 | 30日 | 30日 |
1人あたり/月 | 17,040単位(≒170,400円) | 16,830単位(≒168,300円) |
6名全員/月 | 102,240単位(≒1,022,400円) | 100,980単位(≒1,009,800円) |
<令和6年度の障害者グループホームの収益差>
・1月あたり1人2,100円マイナスになります。
・1月あたり6人で12,600円マイナスになります。
区分3だと1人あたり2100円のマイナス収益になり、区分が高くなればなるほど影響は大きくなります。
1人単位だと高額ではありませんが、利用者を多く抱えるグループホーム事業所様にとっては看過できない額になります。
大きくマイナスになるわけではありませんが、令和6年4月からの事業計画をしっかり見直して報酬改定の影響を反映させましょう。
注意:「人員配置体制加算」により人件費が増えます
令和6年度の報酬改定により新設された「人員配置体制加算」を算定すれば、障害者グループホームの収益が微減にとどまりますが、その分人件費が増大するリスクがあるのでご注意ください。
(項目) | 令和6年度: 6:1配置/12:1加算 |
必要基準の世話人配置 | 常勤1.0 |
必要基準の生活支援員配置 | 常勤0.7 |
人員配置体制加算の人員配置 | 常勤0.5 |
合計時間数 | 常勤2.2 |
「特定従業者数換算方法」 | 88時間/週 |
1)常勤時間40時間/週の場合 | (1.0+0.7)*40[=68]+(88ー68)[=20時間加配] |
2)常勤時間35時間/週の場合 | (1.0+0.7)*35[=59.5]+(88ー59.5)[=28.5時間加配] |
3)常勤時間32.5時間/週の場合 | (1.0+0.7)*32[=54.4]+(88ー54.4)[=33.6時間加配] |
<令和6年度グループホームの人件費増加のポイント>
・常勤時間の設定が低い事業所ほど「人員配置体制加算」を算定するために人の配置が必要になります
・加配職員は常勤であっても欠勤があれば時間数に数えられません
・必要基準職員で常勤職員になり常勤1をそちらに回していれば加配職員になれないので増員が必要です
障害者グループホームの常勤時間を40時間に設定していたら変化はありませんが、常勤時間を35時間もしくは32.5時間に設定している事業所は人件費負担増を強いられます。
また常勤時間が32時間に近いほど少なければ「特定従業者数換算方法」を使うとスタッフの増員が必要になってきます。
「人員配置体制加算」を取得して収益減を避けるには人件費負担が上がる可能性があることにご注意ください。
障害者GH事業運営:ひとまず今できることとは?
令和6年度の報酬改定により障害者グループホーム(共同生活援助)は、基本報酬等の収益減と人件費削減の必要性に直面しますので、令和6年度からの事業計画を早急に修正することが大切です。
<障害者グループホーム(共同生活援助)がひとまず、今できること>
・基本報酬のマイナス収益を年度予算計画に反映させる
・事業計画のキャッシュに支障があれば金策に走る
・人員の頭数を減らすには常勤時間40時間への設定を見直す
・加算取得のためにパート職員のシフトを増やす方向で調整する
現在の規模で障害者グループホーム(共同生活援助)を運営する計画だと、規模が大きければ大きいほど早急に事業計画へ報酬改定によるマイナスを反映させる必要があります。
闇雲に規模を拡大すると損をするケースもあるので、事業拡大には慎重な対処が必要です。
もしくはもはやグループホームでは収益を上げない方向だと、加算もそして夜間支援体制加算も設定せず区分が低い利用者を対象とする方向に変えるのも戦略です。
まとめ
令和6年度の報酬改定の障害者グループホーム(共同生活援助)の「人員配置体制加算」の仕組みについて詳しく分かりました。ありがとうございます。
令和6年度報酬改定に対応した組織づくりに早く着手したいと思います。
令和6年度の報酬改定で基本報酬による収益は、「人員配置体制加算」で補ってもマイナスになるので事業計画の修正が必要です。
常勤換算時間の設定を変更すれば、マイナス収益の一部を補填する人件費削除もできますが、労務的な負担が一時的にかかってくるでしょう。 拡大傾向のグループホーム事業者様は一層影響が大きいので、今後の事業展開を再考するのも大切です。
しっかりと令和6年度の障害者グループホーム(共同生活援助)の制度変更に順応して、自治体や利用者さんから信頼される組織を作ってください。
戸根行政書士事務所からのお知らせ
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