★★★記事執筆者のご紹介★★★
この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
戸根行政書士事務所のプロフィールはこちらですので、よろしければ弊社の支援方針や独自の強みなどご覧ください。
障がい者グループホームを経営しているのですが、日中に支援するだけで取れる加算があるとは本当でしょうか?
日中も滞在される方がいるので積極的に活用していきたいです。
日中に支援するだけで自動的に取れる加算はありません
グループホームで「日中支援加算」を取得するには条件が2通りあります。
誤解がされやすい「日中支援加算」について、この記事では以下のような内容がわかります。
- 日中支援加算を算定する基準がわかる
- 日中支援加算を算定するための書類整備がわかる「
- 日中支援加算を算定する際の注意点や疑問がわかる
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この記事は障害福祉事業専門で、国家資格者である行政書士の戸根裕士が作成しております。多数の顧問先様との仕事から得られた、実務に役立つ注意点をまとめました。
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目次
- 1 日中支援加算とは?基準や注意点を解説
- 2 日中支援加算を取得する時の注意点
- 3 よくある質問
- 3.1 「日中支援加算」は条件に合致すれば日曜日でも取得できますか?
- 3.2 結局「日中支援加算」(II)は何日目から取得することができますか?
- 3.3 「日中支援加算」を取得するためのスタッフは外注できますか?
- 3.4 1人の利用者に「日中支援加算」(I)と(II)を同時に算定できますか?
- 3.5 就労支援の事業所が休止していた場合、「日中支援加算」(II)を算定できますか?
- 3.6 就労支援の事業所に少しだけ行って、すぐに帰ってきた場合は(II)を算定する条件に含めますか?
- 3.7 日中支援加算(II)は、週に日中活動の支給決定が1日しか降りていない人でも取れますか?
- 3.8 日中支援加算(II)は地域活動支援センターの支給決定がある場合でも取れますか?
- 4 まとめ
日中支援加算とは?基準や注意点を解説
障害者グループホームで算定できる日中支援加算とは、必ずしも支援をすべき時間帯でない日中に職員を配置して支援をした場合に算定することができます。
※日中支援型のグループホームは対象ではありません。
(種類) | 条件 | 単位 |
日中支援加算(I) | ・65歳以上又は区分4以上 ・日中、GH外で過ごすことが困難 | 539単位(2人以上は270単位) |
日中支援加算(II) | ・日中活動の受給決定や出勤予定がある方 ・ 初日から算定できます(☜R6new) ・心身の状況等により利用できない ・介護等の支援を行う | 区分4以上:539単位 (2人以上は270単位) 区分3以下:270単位 (2人以上は135単位) |
<日中支援加算の取得条件まとめ>
・「個別支援計画」に日中支援の必要性と支援内容(IIなら「介護等の支援」が必要)を記載する
・日中に滞在してしまう理由を明記します(Iなら「外出困難な理由」、IIなら「心身の不調理由」)
・基準人員に追加してスタッフを配置する(=日中支援時間の配置は月常勤時間に入りません)
・日中の追加スタッフは業務委託でも可能ですが、世話人/生活支援員/夜間支援員として配置されている方は不可です
・土日祝には算定することができない
・重度訪問介護/同行援護/行動援護の支給決定を受けている方は不可
※日中支援加算の国保連請求の注意点
加算額を決める人数の「2人以上」とは、当日に日中支援加算IもIIも含めた加算対象者の総数で決まります。
例)区分4が2人、区分3月1人に対して日中支援加算II
→合計人数が3人であるため:270×1+135×1
※日中支援加算IIの根拠の注意点
パターン1:障害福祉の日中活動をしている→受給者証に受給決定が降りているか確認
パターン2:精神科デイや介護通所をしている→個別支援計画又はサービス利用計画に記載があるか確認
パターン3:一般就労している→雇用契約書の出勤日を確認
障害者グループホームの人員配置は、基本的に①起床後から日中活動出発まで②日中活動帰宅後から就寝までの時間帯であります。
つまり本来は日中の時間帯にスタッフを配置する必要がありません。
しかし「やむをえない事情」で日中支援が必要な方がグループホームに残った場合、追加でスタッフを配置すれば「日中支援加算」が算定できる仕組みです。
日中支援加算(I)算定の注意点
障害者グループホームで算定できる日中支援加算(I)は、日中支援が日々想定される、重度障害の利用者への日中支援が算定要件です。
<日中支援加算(I)の算定上の注意点>
・初日から算定することができる。
・日中に外出困難な方に限定される。
・重度訪問介護/同行援護/行動援護の支給決定を受けていないか確認する。
基本的に日中支援加算(I)の対象者は、日中支援加算を算定できる介護包括型や外部サービス委託型のグループホームの利用者ではありません。
ただ病状の悪化ゆえに症状が重くなり区分が上がることも考えられますので、一時的な応急処置としてスタッフを配置し日中支援加算(I)を算定しましょう。
日中支援加算(I)を取得される方は長期的に見て別のグループホームへの転居も検討する方が安全です
日中支援加算(II)算定の注意点
障害者グループホームで算定できる日中支援加算(II)は、日中活動を予定している利用者が急な体調不良等でGHに残る場合、日中の追加支援を行うことで算定できます。
<日中支援加算(II)の算定上の注意点>
・日中活動へ行けなくなって3日以上の日付を確認する。☜初日から算定できます(R6new)
・「日中活動の受給決定が下っているか」/「精神科デイや介護通所が個別支援計画に位置付けられているか」/「雇用契約書があるか」を確認する。
・重度訪問介護/同行援護/行動援護の支給決定を受けていないか確認する。
※「日中活動」の例について
・就労継続支援B型等
・通所介護やリハ
・精神科ショートケアやデイケア
・一般就労
グループホームで算定できる日中支援加算(II)の対象者は、急な体調変化でやむを得ずグループホームに残った方です。
予期せぬ心身不調の可能性もあるので訪問看護や計画相談に連絡することが大切です。
令和6年度の報酬改定より、在所初日から算定できます
日中支援加算を取得する時の注意点
「日中支援加算」はただ日中支援を行うだけでなく、対象者の障がいの重さや支援を必要とする状況を考慮する必要があります。
「日中支援加算」を取得していても、監査指導の時に指摘がないようにどのようなポイントに気をつければ良いですか?
適切に「日中支援加算」を取得しているように示すことができるコツも知りたいです。
「日中支援加算」を適切に取得するポイントは支援記録の整合性と追加スタッフ配置の適正化です。
日中に支援をする必要性は突然生じることもあるので、事前から気を付けるポイントを押さえてもらえると経営が安定いたします。
支援記録の適切な作成
「日中支援加算」は、その利用者が加算算定の基準に値することを書面で整理しておくことが大切です。
<日中支援加算(I)の記録のポイント>
・日中に外出するのが困難であることを説明する書類
例:ケアプラン、診断書など
<日中支援加算(II)の記録のポイント>
・日中活動の支給決定や通所利用の決定を証明する書類
例:受給者証
・日中活動ができなかったことを記録する書類
例:サービス提供記録、通所先の通所記録のコピー
日中の活動ができなかった記録は、その理由や、原因と考えられる精神状態、さらにこれまで支援をしてきた経験をもとに総合的に記してください。
日中に支援をする必要性は突然生じることもあるので、日々の利用者さんの状態をどこまで正確に把握しているかが勝負です。
個別支援記録との整合性
障がい者グループホームの基本的な支援時間帯外ですが、利用者支援の一環なので個別支援計画との整合性は保ってください。
<個別支援記録との整合性のポイント>
・心身の状態やこれまでの傾向から日中支援が必要である旨を記す
・日中支援する際の健康上の管理に気を付ける
・日中支援が必要となる状態が継続するのか一時的かを想定する
特に「日中支援加算」(II)の場合、突然必要性が生じる可能性があるので、日中支援記録を充実させモニタリングに備えてください。
支援計画の更新ごとに日中支援の内容がより正確に、状況に相応しいものになるようご注意ください。
日中支援のスタッフの管理
日中支援を行うためにスタッフが必要ですが、ポイントは基準となる人員配置に追加して加配する必要がある点です。
<日中加算のための追加配置の注意点>
・基準人員を計算し、その基準を超えた日中の加配にする
・業務委託契約で配置する場合は契約書に報告義務等を明記する
基本的に配置されているスタッフを日中支援のために兼務させることができますが、その時間数は月ごとの配置基準に換算されません。
日中支援は急遽必要になる場合にスタッフを兼務させたときは、労働条件等に気を付けてください。
※加算の額と人件費の比較
(ケース1:区分4が1人)
日中支援加算:539単位/日 ×10円/単位=5,390円
(ケース2:区分4が2人)
日中支援加算:270単位/日 ×10円/単位 ×2人=5,400円
↓
加算額は日中支援をする人件費に充当される性質であるとご理解ください。
よくある質問
「日中支援加算」は条件に合致すれば日曜日でも取得できますか?
答:できません。日曜日、土曜日または国民の祝日に支援を行っても算定できません。
結局「日中支援加算」(II)は何日目から取得することができますか?
答:3日目からです。日中に支援した当日から算定することはできない点にご注意ください。
「日中支援加算」を取得するためのスタッフは外注できますか?
答:できます。ただ「日中支援加算(I)」のためのスタッフを、「日中支援加算(II)」の取得のために用いることはできません。
1人の利用者に「日中支援加算」(I)と(II)を同時に算定できますか?
答:できません。
就労支援の事業所が休止していた場合、「日中支援加算」(II)を算定できますか?
答:できません。事業所側で休止しているだけでは利用できません。
就労支援の事業所に少しだけ行って、すぐに帰ってきた場合は(II)を算定する条件に含めますか?
答:できません。
日中支援加算(II)は、週に日中活動の支給決定が1日しか降りていない人でも取れますか?
答:取れます。
日中支援加算(II)は地域活動支援センターの支給決定がある場合でも取れますか?
答:取れます。ただし通所予定日と欠席日とその対応をしっかり記録いたしましょう。
まとめ
障がい者グループホームを経営しているのですが、日中に支援するだけで取れる加算があるとは本当でしょうか?
日中も滞在される方がいるので積極的に活用していきたいです。
「日中支援加算」は、特に(II)は突然算定する必要性が生じることがあるので、日毎から支援記録や個別支援計画を整理しておくことが大切です。
また「日中支援加算」の加算額は加配する人件費にあたり、必要な人員配置数に含まれませんことにもご注意うださい。
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